全身麻酔の特徴。麻酔器の構造と酸素フラッシュとは?

治療用機器

手術や検査の際に痛みを取り除くため、薬品や針などを用いて一時的に感覚をなくすことを麻酔といいます。麻酔を使うことでメリットがある反面、麻酔による副作用を理解して行う必要があります。麻酔には全身麻酔と部分麻酔とがあります。

○全身麻酔の特徴
全身麻酔は大きく2種類あり、セボフルランなどの吸入麻酔薬を麻酔器で気化し、亜酸化窒素などのガスと一緒に吸収させる吸入麻酔薬、そして静脈注射による麻酔(点滴)とがあります。どちらも完全に眠った意識のない状態にする麻酔方法です。患者様の状態や術式、予定時間を考慮して吸入麻酔か静脈麻酔かを選びます。
全身麻酔中は筋肉を緩める薬品(筋弛緩剤)を使用するため、呼吸する筋肉も弛緩するために呼吸が弱くなります。そのため、呼吸の補助(人工呼吸や気管挿管)が必要になります。

●全身麻酔の目的
全身麻酔には以下の目的があり、基本的にはすべてを満たす必要があります。
①意識をなくし、痛みを感じなくさせる
②筋を緩ませる
③手術による有害な反射(副交感神経反射)を起こさせなくする

○麻酔器の特徴
全身麻酔は吸入麻酔法と静脈麻酔法がありますが、どちらを選択しても呼吸機能の低下は避けられないため、必ず「麻酔器」を使用して酸素の供給・管理しながら状態を維持していきます。
麻酔器は、呼吸回路部とガス供給部という2つの役割があります。呼吸回路部は患者様の吸気・呼気を管理して換気を維持すると共にガスを投与する役割があり、ガス供給部は患者様に投与するガスを作り出す(酸素・麻酔薬・亜酸化窒素)役割があります。

●麻酔器の構造と機能
基本的な麻酔器の構造は以下のようになっています。

・パイピング(中央配管)
麻酔器には大型のボンベが必要となるため、多数のボンベを別の場所に配置して複数の管が分岐する構造の気筒により減圧してから手術室などに供給していきます。

・ボンベ
酸素・亜酸化窒素(笑気)のボンベが配置されています。酸素は圧力計により残量を確認します。亜酸化窒素は温度によって圧力が一定であるため、重量で残量を確認します。通常、ボンベは麻酔器がある部屋とは別室か屋外に配置してあるため、基本的には麻酔器の使用時にボンベを直接扱うことはありません。

・麻酔器の主な機能
麻酔器には減圧されたガスの流量を調節する流量調節ノブ、ガスの流量を測定する流量計、麻酔薬を気化させる気化器、二酸化炭素吸収装置、酸素フラッシュ弁などがあります。酸素フラッシュ弁とは、毎分35〜75Lの大流量の酸素を流量計や気化器を介さずに呼吸回路へ供給する弁です。あまり使用する弁ではありませんが、麻酔器の使用前には自動復帰式ボタンやレバー作動するか、出し放しにならないかという点検を必ず行う必要があります。

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