レーザーメスの種類と特徴。電気メスとの違いも解説

治療用機器

レーザーメスとは、レーザー光線の熱エネルギーを利用してメスの役割をする医療機器です。
外科手術や美容外科、皮膚科や眼科、歯科、獣医科などさまざまな医療現場にて活用されています。
医療現場では組織の切開、切除(腫瘍やほくろ、痔など)、蒸散(組織を気化させること)や血液の凝固(止血)といった用途があります。

○レーザーメスの特徴
レーザーとは、特殊な装置を用いた人工的な光の束の1種です。
レーザーは自然の光とは全く違う性質をもっており、「単一の波長である」「進む方向が一致している」「位相が一致している」といった性質があります。
レーザーメスの種類は外部からエネルギーを受けると特定の波長だけを出す「媒質」によって分かれます。ガス(気体)レーザーの1種である炭酸ガスレーザー、個体レーザーの1種であるNd:YAGレーザー、半導体レーザーが臨床でよく使用されています。

・炭酸ガス(CO2)レーザー…気体の炭酸ガスを媒質としています。水によく吸収されるため、生体組織での吸収率が高いことが最大の特徴です。そのため、周辺組織へダメージが少ないため、出血を伴わずに切ることができます。歯科では特に使用されることの多いレーザーです。

・Nd:YAGレーザー…イットリウム・アルミニウム・ガーネットの3種類からなる結晶(YAG)にイオンのネオジウム(Nd)を混合したものを媒体にしています。
水分では吸収が少ないので、深部組織の治療に適しています

・半導体レーザー…ガリウム・アルミニウム・ヒ素の比率や原子を変えて異なる波長を出します。ダイオードレーザーとも呼ばれます。
他のレーザーに比べて小型化が可能です。
半導体レーザーは高出力のハードレーザーと低出力のソフトレーザーがあり、前者は眼科や歯科のインプラント治療、後者はシミやソバカス、ニキビの治療に用いられます。

○電気メスとレーザーメスとの違い
熱エネルギーを利用した医療用メスには高周波電流を用いて組織の切開や凝固止血を行う「電気メス」という医療機器が従来から利用されています。
電気メスは装置本体が安価で消耗品が少ないため、費用対効果に優れています。
一方で電気メスの欠点は高周波電流による周辺組織の温度上昇(火傷)であり、レーザーメスとの最大の違いといえるでしょう。
操作が容易で経済性の高い電気メスを使うメリットもあるため、術式によって電気メスとレーザーメスを使い分けることが推奨されています。

ピックアップ記事

関連記事一覧