内視鏡(ファイバースコープ)手術のメリット

治療用機器

日本では毎日多くの手術がおこなわれており、その数の患者が手術という不安と闘っています。手術は人々のQOLを大きく向上させる一方で、痛みや苦痛への心配、身体機能の低下の懸念などのストレスを伴うものです。その手術の手法を大きく変えたのは、内視鏡(ファイバースコープ)を採用した手術です。では、どのように変わったのか見ていきましょう。

内視鏡(ファイバースコープ)手術の歴史

内視鏡(ファイバースコープ)を採用した手術は、比較的新しい手術手法と思われていますが、腹腔内を内視鏡(当時は電子式カメラがないため、鏡の反射を利用して覗き込むタイプ)で覗く手法は、1800年代初頭から考えられていました。

そして1901年、ドイツの医師ゲオルグ・ケリングによって、犬の腹腔内を空気で膨らませて内視鏡で覗き込むアイデアが、今日までおこなわれている腹腔鏡手術の原点とされています。日本初の内視鏡手術は、1990年に山川達郎医師によっておこなわれた腹腔鏡下胆嚢摘出術で、この成功によりこの国でも内視鏡による手術が普及していくことになります。

内視鏡(ファイバースコープ)を使った手術とは

開腹手術が主流であった頃は、多くの外科医が”小さな孔から覗いて手術をするなんて大丈夫なの”と考えていました。しかし現在では、特殊な場合を除いては内視鏡を使用した手術が開腹手術に取って代わり標準的な手術となっています。

内視鏡を使用した手術とは、お腹の壁に小さな孔を開け、内視鏡と呼ばれるカメラをお腹の中に挿入し、内視鏡と接続されたモニターに映った腹腔内の映像を見ながらおこなう手術のことを指します。

内視鏡(ファイバースコープ)を使った手術はこんなに違う

開腹手術と内視鏡を使った手術の違いを紹介しましょう。

開腹手術

〇大きな傷跡が残ってしまう
〇痛みが激しくて回復が遅い
〇癒着が起こり再手術の可能性がある

内視鏡(ファイバースコープ)を使った手術

〇痛みが少なく回復が早い
〇手術のあとがほとんど残らない
〇短期入院で経済的
〇癒着がほとんど起こらない

内視鏡を使用した外科手術をおこなった患者にとって最大のメリットは、傷跡がほとんど残らないことでしょう。従来の開腹手術跡が与える心的ダメージは相当大きく、術後にカウンセリングが必要になる方もいらっしゃいます。

どこの病院でもおこなえる手術なのか

内視鏡を使用した手術は、どこの病院でもおこなっているわけではなく、また、おこなえるわけでもありません。

光学機器類をはじめ、超音波擬古切開装置などの最新の器具類をそろえていることはもとより、それらを間違いなく自由に使いこなし、不測の事態にも迅速に対応できる医師の存在が不可欠です。そのため、2005年より日本内視鏡外科学会では厳しい審査による技術認定医制度を導入しています。

まとめ

かつては、ブラウン管のモニターを見ながら内視鏡手術をしていた時代がありましたが、次第に画像技術も進歩し現在は4Kなどの精細な映像や、特殊なサングラスをかけて3D映像を見ながら手術ができるようになりました。このように技術の進歩により手術のこれからも、より患者に負担がかからないような手法が出てくるのです。

ピックアップ記事

関連記事一覧