人工呼吸器をつける際の気管挿管とは?

治療用機器

肺炎の悪化や老衰が進むことで、息切れをおこし呼吸がしにくくなる状態では、呼吸が止まってしまうといった状況に陥ることがあります。そうなった時、人工呼吸器をつけるための欠かせない処置、「気管挿管」とはどのような処置なのでしょうか。

人工呼吸器を必要とする気管挿管とは?

人工呼吸器を必要とする気管挿管とは、全身麻酔や呼吸困難などで呼吸ができない患者に対して、肺に通じる気道を確保するために、気管に直径1cmほどの気管内チューブを入れる処置のことです。気管内チューブは人工呼吸器とつないで酸素を供給することになります。

気管挿管の方法は、全身麻酔による患者の睡眠時に、のどの奥をみる咽頭鏡を使用し、気管へチューブを差し込みます。

気管挿管は、手術をおこなう上で重要な処置です。患者は鎮静剤と鎮痛剤、そして筋弛緩剤を使用するため、自ら呼吸をすることが難しくなります。そのようなことから、正しく気管挿管がおこなわれることは、患者の命を守る上で最重要事項となります。

気管挿管をアシストする補助具

正しい挿管は簡単ではありません。そのため、何度も気管挿管を繰り返していると、気管や頸部に負担がかかります。そのようなトラブルを防ぐために、気管挿管をアシストする補助具があります。

エアウェイスコープ

内部の環境をみつつ本体にあるモニターもみながら、声帯のほうへ挿管チューブを誘導できる構造です。

エアトラック

モニターはついていませんが、内部観察が容易におこなえます。

キングビジョン

併用医療機器及び対応するサイズのブレードを口に挿入することにより、気管内チューブの挿入、配置を支援できます。異物除去する空間を確保でき、チューブガイドつきのものもあります。

マックグラス

小型軽量で2.5インチのモニターがついたものです。

気管挿管後に起こる合併症

気管挿管後に起こる合併症は、以下の通りとなります。

誤嚥性肺炎

原因としては、食べ物や飲み物が、気管に誤って入ったものを排出するこができないことで起こります。

咽頭痙攣

咽頭筋群の収縮により声門や咽頭の閉鎖によって起こります。

気管支痙攣

気管支喘息や慢性閉塞性肺疾患、慢性気管支炎、気道過敏症の患者に多く起こる可能性があります。原因は、気管支粘膜を刺激する分泌物や、薬品、ヒスタミンを遊離する麻酔薬といった手術中に使用する麻薬鎮痛剤などで起こる可能性があります。

歯や唇の損傷

歯の損傷は、気管挿管時に上顎の前歯4本、また、差し歯やぐらつきがある歯や、1本だけ残っている歯も、咽頭鏡による圧迫で折れることがあります。
唇の損傷は、気管挿管時に看護師がアシストすることで予防ができます。

まとめ

患者が急変し気管挿管になるということも看護師なら経験することと思います。シミュレーションで上手くいっても実際に気管挿管するとなると、あせることもあるでしょう。そのような時に備えて、気管挿管に必要な器具などを頭に入れておくことをお勧めします。

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