麻酔器の構造からわかる安全な管理

治療用機器

麻酔器は、外科手術などにおいて、痛みをなくして手術を実施する場合に使用されます。歯医者のように使用される局所麻酔と患者の意識を麻酔によってなくす場合の全身麻酔があります。麻酔器の構造を理解する事で、安全な管理に役立つでしょう。

麻酔器の構造

大きく分けるとすれば、ガス供給部分があり、呼吸回路部分があります。これらを観察する為に必要なモニタリングを行う装置や細かい接続機器によって成り立っています。つまり、麻酔を行う部分と、呼吸を助けてくれる部分が、主体となる構造で、これらをモニターによって安全に処置する為の確認ができるようになっているのです。

1.ガス供給部
空気の中には、窒素が80%位と酸素が20%位と少しの混合物を、含みます。酸素だけ吸入しても酸素酔いを起こしてしまいます。ガス供給部には、病院の壁などから配置されている酸素の管を緑に、窒素の管を青、空気の管を黄色で統一しています。

麻酔は、医療用ガスの一種である亜酸化窒素=一酸化二窒素と医療用の酸素を用いて全身麻酔の為のガスを流入しています。亜酸化窒素は、笑気と呼ばれており、鎮静作用と鎮静効果の働きがありますが、笑気ガスのみの使用は危険な為に、高濃度の酸素と一緒に使用されます。

ガスの供給部にある、気化器を通して麻酔薬を気化させて笑気ガスと酸素を混ぜ合わせる事で、麻酔ガスを作っているのです。揮発性麻酔薬の濃度の調整は、気化器のダイヤルで行います。麻酔薬の濃度を保つには、温度で変化する飽和蒸気圧を調整する為に補助装置が付けられています。

2.呼吸回路部分
自動換気装置と呼吸バッグによる人工呼吸を行う部分である呼吸回路部に対して、麻酔用のガスを吸気として、患者に送りこまれます。患者が吐き出す呼気の中にある二酸化炭素を、カニスターと呼ばれる吸収装置を通して、そのガスを再度、吸気として循環させていく仕組みになっています。

この時に出る余剰となる要らないガスの方は、半閉鎖弁から室外に放出されるようになります。

3.モニタリング機器
二酸化炭素分圧は、血液ガスに対する目安として、高くなると肺胞換気量は不十分な状態であり、低い場合には、過剰換気状態になっています。モニタリングによって、呼気中の二酸化炭素分圧の状態を把握します。

経皮的酸素飽和度とは、血液中に含まれるヘモグロビンの酸素の結合率を表したものです。正常な動脈血の酸素飽和度はおおよそ96%以上ですが、酸素飽和度が90%以下になった場合には、呼吸不全の疑いが考えられます。モニタリングによってその飽和度を観察をしています。他にも、換気量などを観察しています。

循環系のモニタリングでは、心拍数や血圧、心電図などを観察しています。

麻酔器の役割

口や鼻から麻酔薬を吸入させる方法の吸入麻酔と、静脈から麻酔薬を注射する静脈麻酔があります。全身麻酔の場合には、患者の呼吸機能が弱まる事に対して、必要となる酸素を提供しながら、安全に手術に対応できるように管理する事が、麻酔器の役割となっています。

まとめ

麻酔器の構造を紹介してきた事で、麻酔の仕組みと、呼吸機能の仕組みを、知る事になりました。安全に使用する為にも、構造を理解する事で、管理の仕方や安全に使用する為の助けとなると考えます。

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