手術台の消毒と手術室看護師の役割

治療用機器

どのような手術であれ、ひとたび患者に感染がおきてしまうと合併症のリスクが高まります。そのようなことから、感染対策はとにかく重要で、そのひとつとして、手術台の消毒・滅菌があります。感染対策の観点からその処理条件を、今一度確認していきましょう。

手術後の手術台消毒について

使用済器材の処理方法を決めるとき、その器材がどこに使われたか、また感染性物質の付着の有無で判断するのではなく、その器材が使用されるときの使用部位に対する感染の危険度に応じてカテゴリー分けされます。

■クリティカル器材:洗浄+除菌(手術器具・カテーテル類・腹腔鏡・眼内レンズなど)
〇皮膚や粘膜を貫通する、もしくは無菌組織や血管系に挿入される器材
〇あらゆる微生物に対し感染感受性となるため、細菌芽胞を含む、あらゆる微生物の除去が必要

■セミクリティカル器材:洗浄+高水準消毒または中水準消毒(硬性内視鏡・直腸体温計など)
〇粘膜または創傷のある皮膚と接触する医療器具
〇損傷のない正常粘膜は通常、一般的な細菌芽胞には抵抗性があるが、結核菌やウイルスなどその他の微生物にたいしては感受性が高い

■ノンクリティカル器材:低水準消毒または洗浄後乾燥(手術台・聴診器・便座・リネン類)
〇患者と直接接触はしない、または創傷のない皮膚と接触はするが、粘膜とは接触しない器材
〇創傷のない皮膚は、ほとんど微生物に対する効果的なバリア作用があるため、無菌レベルは問題ではない

このようにカテゴリー分けをすると、手術器具は「クリティカル器材」であるのに対して、手術台は「ノンクリティカル器材」に該当することから、低水準消毒の処理をおこなうことになります。

術後の手術台周辺の清掃は手術看護師が担当することも

手術看護師は、手術が終わり、次の患者が入室するまでに手術室の衛生管理をすることになるのですが、最近では業者に委託する医療施設も多いようです。業者の清掃する範囲は様々で、感染症の患者が使用した手術室の掃除はおこなわないなどの取り決めをおこなっている医療施設もあります。

感染症の患者が使用した手術室を業者が掃除しない理由は、作業員の二次感染を回避するためです。医療施設側としても、感染症の知識が乏しい清掃業者に、手術後の清掃を任せるのはリスクが高くなります。

また、清掃業者によって、壁や床は清掃をするが、手術台の周辺は清掃しない契約をする業者もいます。この理由は、手術台周辺にある麻酔器やシリンジポンプなどの高額な医療機器が配置されていることにあります。

清掃を委託された業者の作業員が、医療機器の取扱いの知識を持ちあわせているとは限りません。手術台周辺に設置された医療用機器を、清掃のために移動や接触をしたことで故障や不具合をおこしてしまうと、予定していた手術が中止になることもあります。

手術用の医療機器は高額であることが多く、すぐに入手できるわけではありません。そのような事態を避けるためにも、手術台周辺の清掃・消毒については、手術室看護師の業務としている医療施設が多いのです。

まとめ

手術後の手術台消毒についてと、術後の手術台周辺の処置は、手術室看護師の役割になることについて記載しましたが、手術台において手術室看護師が担う衛生管理は、病原菌や汚染がなく衛生的な状態にしておくことです。術後の清掃する範囲は医療施設によって異なりますが、衛生管理においては、適切な処置をされているか確認する必要があります。

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