麻酔器と呼吸回路の運用について

治療用機器

多くの麻酔器はさまざまなモニターと一体化され運用されており、初めて目にすると、一見複雑な構造に圧倒されがちですので、ひとつひとつ役割別にみていくことがいいでしょう。ここでは、主に麻酔器と呼吸回路の運用について調べてみましょう。

患者呼吸回路の組み立て

患者呼吸回路の組み立てには多くの場合円錐接続が採用されており、口径は 22 mm もしくは 15mm のオス、メスから成り立っています。円錐接続は接続しやすい反面、はずれ易いことが難点です。患者呼吸回路におけるはずれやリークの報告は数多く、十分に注意を払って組み立て、使用中も常に注意する必要があります。

回路内のリークテスト

患者回路のリークを点検するには、回路の酸素ガスを流し加圧する方法が一般的です。

一般的な方法

Y ピース(患者呼吸回路先端)、APL 弁(adjustable pressure limiting)の双方を閉じ、酸素を 5 ~ 10 L 分けて流します。そのうえで、30cmH2O の圧まで呼吸バッグを膨らませ、次いで呼吸バッグを押し、回路内圧を 40 ~ 50 cmH2O にします。

リークが強いケースでは圧の維持が難しく、接合がはずれる恐れや、接合不備を見つけることができます。呼吸バッグより手を離し、圧を 30cmH2O に戻します。酸素を止めた状態で30秒間キープし、圧低下が 5 cmH2O 以内であることを確認します。

低圧回路系の場合

圧調整をするAPL 弁(adjustable pressure limiting)を閉じ、酸素を 1分間に100 ml程度流します。呼吸バッグを外し、その接続口と Y ピースを両手で塞ぐなどします。回路内圧の目盛りが 30cmH2O 以上になることを確認します。

圧力が上がりすぎないうちに酸素流量を0 に戻します。このチェックによりニードルバルブから呼吸回路全体においての漏れは、少なくとも 30 cmH2O の圧までは 1分間に100 ml以下であると判断できます。

低流量計がある麻酔器では更に少量でテストを行えますが、麻酔器によっては、最少流量が 1分間に100 ml/以上であるケースがあり、麻酔器の最少流量でテストします。気化器の中や、その周辺をテストするためには、個々の気化器をONにしてリークを点検した方が望ましいです。

また、共通ガス流出口とフローメーターとの間のリークを確認するために、この間にチェックバルブ(一方弁)のあるものがあり、このケースでは陰圧テストをする必要があります。

患者呼吸回路の動作確認

麻酔器を設置及び作動状態をチェックするうえで、ゴム製バッグまたは、ベローズの点検が必要です。リークの起こる可能性が一番大きい部分だからです。ネジのゆるみ、パッキングの紛失、劣化、破損、不完全な密閉など、多くの問題が発生し得ます。

点検法

呼吸回路に漏れがないことを確認した後、Yピースの先端を塞ぎ、1分間に4 ~ 6 Lの酸素を放出します。そのうえで回路内圧が 30 cmH2O 程度に上昇したら 、APL 弁(adjustable pressure limiting)を全開にし、圧が急激に低下することを確認します。次にテスト肺をつけ、呼吸バッグを軽く押しつつ APL 弁(adjustable pressure limiting)の開閉を反復し、回路内の圧が円滑に変化することをチェックします。

まとめ

麻酔器と呼吸回路の運用についてみてきました。正しく運用し、事故のないよう努めていきたいものです。

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