麻酔器とポップオフバルブの役割

治療用機器

医療機関で欠かすことのできない機械の一つに麻酔器があります。その麻酔器を構成する重要な部品が、ポップオフバルブと呼ばれる物です。今回の記事では、麻酔器の構成から、ポップオフバルブの役割まで詳しくお伝えしていきます。

麻酔器とはどういう機器か?

麻酔器とは手術に際して、患者の呼吸管理と麻酔管理をする為の医療機器です。麻酔を用いた手術を行う際には、生体モニター・電子カルテを麻酔器とセットで使います。

麻酔ガスは、天井又は壁の麻酔ガス供給部とホースを接続することで供給されます。何らかのトラブルによりガス供給が絶たれた際は、酸素と亜酸化窒素をボンベから供給します。

ガス流出口から供給されたガスは、ガス呼気弁→患者の呼吸器系→吸気弁→バッグ→二酸化炭素吸着装置→吸気弁という順番で循環します。

余剰なガスは、ポップオフバルブ(APL弁とも呼ばれます)を通して排出されます。残りの呼気ガスは二酸化炭素吸着装置を経て、新たに供給されたガスと混合されて再び吸気ガスとなります。これを半閉鎖循環回路と呼びます。

麻酔器を使用する前のチェック

麻酔器を使用する前には必ず動作の確認を行いましょう。
麻酔回路のマスクを外し、Lコネクタの先を塞いで、ポップオフバルブをクローズにし、酸素フラッシュして麻酔バッグが膨らんでからバッグを加圧します。回路圧が 30 cmH2Oまで上がって、10秒間落ちないことを確認して下さい。

ポップオフバルブとはどういう役割の部品か?

ポップオフバルブは、麻酔ガスの呼吸回路内の圧力を調整する為の装置です。ポップオフバルブを閉じると、ガスが排出されなくなるので呼吸回路内の圧力は高まり、逆にポップオフバルブを開けばガスは回路の外へと排出されるので、呼吸回路内の圧力を下げる事になります。

患者が自分で呼吸をしている(自発呼吸をしている)時は、ポップオフバルブを全開にします。自分で呼吸をしているのにマスクをして呼吸回路内の圧力が上げていたら、息を吐き出し難くなるからです。

逆に、麻酔導入後はポップオフバルブを閉じ気味にすることで、呼吸回路内の圧力を高め、陽圧換気できるようにします。

ポップオフバルブはバッグの近くに設けられており、バネや、おもりによって開弁圧を調整するタイプ以外に、孔の径を変化させて開弁圧を調整するタイプがあります。麻酔ガス排除装置に接続する構造になっている麻酔器が多い様です。ポップオフバルブは、呼気ガスを排出し、また再度吸気ガスとして循環させる比率を調整するという重要な役割を果たします。

まとめ

今回は、麻酔器の基礎知識と麻酔器に備わっているポップオフバルブの働きについてお伝えしました。麻酔器を使用する前には入念に各部の動作チェックを行い、きちんと使用法を確認してから使用しましょう。

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