心電図の代表的な基本波形について

治療用機器

心電図は1903年にオランダの医学者アインホーフェンによって生み出されました。彼はその功績により1924年ノーベル医学生理学賞を授与されています。心電図検査は、当時、画期的な最先端の科学だったのです。現在も臨床の現場などで使われる心電図。ここでは心電図の基本波形について一緒に見ていきたいと思います。

基本波形

心臓は、電気の流れと電気活動によってポンプとして動いています。洞房結節で生じた電気は、心房から房室結節へ、そして心室(右脚・左脚)へと流れていきます。その電気活動の総和を体表から検出したものが心電図です。代表的な基本波形を見ていきましょう。
※洞結節は、心臓を動かす電気信号を右心房の上部の壁にある部分から発しています。

P波

心房の放電状態の総和です。個人差などにより、小さく出る場合があり、判別しにくい場合があります。P波のピークは、大きくても0.25mV未満であれば正常とし、高く出るケースでは異常ですが、低く出るものは、個人差と考えてください。
※放電状態は興奮を表しています。

PP間隔

連続するそれぞれの、心房興奮開始の間隔です。正常では、その間隔は信号発生の間隔
を、規則的な形で出ており、周期的に表われています。

PQ間隔

P波が開始されてからQRS波が開始されるまでの間隔です。心房の放電開始から心室の放電開始までの時間で、心房と心室の伝導能力を反映します。PQ間隔は定常的であることが正常と言えます。

また、この間隔が短いということは房室間の伝導が速い、間隔が長いということは房室間の伝導が遅い、つまり時間を要しているということになります。多くの場合、短いものはあまり問題としませんが、長い場合は異常とみなされます。0.20秒までを正常、0.21秒以上はPQ延長とします。

RR間隔

QRS波と次にくるQRS波までの間隔です。これは、心室放電から次の心室放電までの時間を意味します。通常では規則正しく周期的です。1分間に心室が収縮する回数を心拍数といいますが、この間隔がわかれば、心拍数も計算できます。

心拍数の基準値は、臨床的には1分間に50~100回とすることが多いようです。1分間に50回未満を徐脈、1分間に100回以上を頻脈とみなします。

通常、心臓の律動は洞結節が支配しています。房室伝導時間が定常的であれば、洞周期が心室興奮周期になります

QRS波

心室の放電の総和を意味します。QRS波の幅は、すべての心室筋が放電を完了するまでの時間です。通常、0.10秒までです。

T波

心室の再分極を意味します。QRS波が終了した部分をST接合部とよび、ST接合部からT波が開始されるまでをST部分といいます。

まとめ

心電図の基本波形の代表的なものをピックアップしてみました。臨床的に用いられることの多い心電図ですので、正しく理解し、事故のないよう運用に心がけたいものです。

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