レーザーメスはその出力により目的用途が変わる

治療用機器

手術において人体組織を切るときにメスを使いますが、金属のメスだけでなくレーザーメスが用いられる様になっています。このレーザーメスは、その名が示している様にレーザーを発するメスです。このレーザーメスは出力によって、治療法や使用部位が異なります。ではレーザーメスの出力などに触れながら、その種類などをご紹介します。

レーザーメスについて

外科用のメスとしてレーザーを応用したものが、レーザーメスになります。その使用の用途は、切開・止血・蒸散です。このメスの特徴は、レーザーメスから放出される集中エネルギー(レーザー)は生体組織に吸収されると、瞬間的に熱を生じ組織を凝固・焼灼・炭化・蒸発させます。

尚、組織を連続的に切開が出来て、組織内にある毛細血管など細かい血管は凝固されるので無血的に切ることが出来るのが特性としてあります。この特性のため肝臓・腎臓・膵臓など、従来のメスでは止血することが難しかった臓器を無血的に手術することが可能となりました。

その出力と用途

レーザー光線の強弱は、出力パワーで計ります。出力パワーの単位としては、電気と同じでワット(W)を使用します。出力パワーはレーザー出力が出来る単位時間あたりの力と考えます。数式に表現すると、パワー=エネルギー/時間となり、1Wとは、1秒に1ジュールのエネルギー割合として、定義されます。

出力パワーは極めて大きな範囲にわたっており、小さなものではミリワット(mW=1/1000W)から大きなものではキロワット(kW=1000W)まであります。病変部位に合わせパワーの適切なメスが使用されます。

治療には、各種外科手術に使われる【高出力レーザー療法】と、人体組織に対して全く組織破壊反応を持たない【低出力レーザー療法】とがあります。前者は組織の切開や切除、血液の凝固に使用されることが多く、後者は血行促進や筋肉の緊張をほぐしたりする目的で有効とされています。

このメスの種類と特徴

レーザーメスと言っても、その種類は主に三種に分けられます。それぞれ特徴があります。
〇炭酸ガスレーザー
このメスの特徴は、水分に対して高い吸収を示します。これはレーザーを照射したときの熱が水分によって吸収されることを示しており熱損傷が少ない傾向を持っています。また、炭酸ガスレーザーは水分吸収の度合に応じて、色素や血管分布に関係なく到達深度が0.05mmです。

〇半導体レーザー
このメスの特徴は、色素等に対して吸収が高い点です。また、ガリウム・アルミニウム・ヒ素の比率を変えて異なる波長を出します。加えて、小型化が可能な点も特徴としてあります。また、このメスには高出力レーザーと低出力レーザーがあり、それぞれ使用用途が異なります。

〇Nd:YAGレーザー
アルミニウム・イットリウム・ガーネットからなる結晶にネオジウムイオンを混合したものを媒体として使っています。水分吸収が少ないため、深部組織の使用に適しています。

〇その他として
ダイレーザーと言われるものは、血管の赤い部分に吸収されやすい特徴を持っており、赤アザや静脈瘤の治療など異常部分にのみ反応して使用出来ます。

ルビーレーザーと言われるものは、瞬間的に強い光を発して異常組織を破壊することが可能です。ホクロ・シミ・そばかすなどの除去に使用されることが多く、脱毛等にも有効とされています。

まとめ

レーザーメスは出力によって目的用途が変わり、種類も様々です。病変のある部分に応じてレーザーの出力を変えて対応して治療します。今回は、レーザーメスの出力に関することを主に取り上げてみました。

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