麻酔器とソーダライム!その関係性から分かることは?

治療用機器

手術の際に、患者さんにマスク状のものを口にあて麻酔科医が、声をかけながら麻酔をかけている場面を医療ドキュメンタリーなどで見ることがあると思います。麻酔器は手術に必要不可欠なものです。その麻酔器にソーダライムという物質が使用されるのですが、この二つの関係性には何があるのでしょう。麻酔器においてソーダライムの果たす役割などを紹介します。

ソーダライムとは

ここでは、ソーダライムとはどの様な物質で、どの様な特性や用途があるのかについて述べます。その後、麻酔器に対して役割などに触れていきます。ソーダライムとは何か。言葉からくるイメージは「暑い夏の日に飲むと美味しそうな清涼感あふれるソーダ水」という感じがしますが、実際はどうなのでしょうか。

ソーダライムとは、水酸化カルシウムを主成分とする炭酸ガスであり、各種酸性ガスなどの吸収剤です。更に、あらゆる用途に応じて様々な性状を持っていて「低水分品」「超硬度品」などがあります。

その特性として、様々の粒度にすることが可能である点が挙げられます。また、取り扱いの最中や輸送中の衝撃で粉化が少ない様に適度な硬度に作られています。更に、反応が円滑に行われる様に含水量が調整されています。

用途を言うと、炭酸ガス吸収剤・半導体エッチングガス及びクリーニングガスの除害剤・フッ素水素、塩素、塩化水素、・その他酸性ガスの除害剤に使用されます。また特に二酸化炭素(炭素ガス)吸収能力を有しています。
(1)この物質は、二酸化炭素と反応して中和反応を生じて、二酸化炭素を吸収します。
(2)この物質の二酸化炭素との反応速度・持続時間は、必要に応じて多種を生成できます。

麻酔器におけるソーダライムの役割は

麻酔器に使用されている呼吸器回路では、新鮮ガス並びに麻酔ガスは流量計と気化器から供給されています。患者さんの呼吸器回路は一方向に循環させるため循環回路とも言われています。麻酔器の呼吸器回路は、呼吸バック・一方向弁(吸気弁、呼気弁)・2本の蛇管・Yアダプター・二酸化炭素吸収装置・APL弁(圧力調整弁、ポップオフバルブ)などから構成されています。

麻酔器の呼吸回路構成の1つである二酸化炭素吸入装置。これは、ソーダライムなどの二酸化炭素(炭酸ガス)吸入剤を入れて、呼気による呼吸回路内の二酸化炭素蓄積を防ぐ役割を持つものです。

麻酔器の循環回路は患者さんの呼気の一部が再利用されて、一部は外気中に余剰ガスとして放出されるため半閉鎖循環回路とも言われています。その他に閉鎖式などの循環回路もあります。全身麻酔に使われる麻酔器の多くは「半閉鎖循環回路」が採用されております。

ソーダライムには交換する時期があります

交換の時期についてですが、呼気ガスモニターというものがあり人が吐いた呼気中の二酸化炭素濃度を測定する機器のことで、計測値を見て交換を判断します。ソーダライムが二酸化炭素を完全に吸収していれば、二酸化炭素濃度はゼロです。しかし、その使用効果が落ちてくると濃度の測定値は上昇します。この値が5~6mmHg程度になると、そろそろ交換時期になります。

まとめ

ソーダライムという物質の特性や性質、かつ麻酔器に対して果たす役割、交換時期などについて確認してまいりました。ご理解頂けたでしょうか。

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