代表的な医療用レーザーとレーザーメスの波長について

治療用機器

レーザーメスと聞くと身近な存在では、近視や乱視治療のレーシック手術や、永久脱毛などをイメージしていまいますが、医療の現場では様々な治療に役立っています。波長800nm付近は、高出力でレーザーメスとして活用が広がっており、止血と深い切開が両立できるとされています。医療用レーザーメスの種々やその波長などについてご紹介します。

レーザーメスとは

レーザーの語源はLight Amplification by Stimulated Emission of Radiation(誘導放射による光の増幅)の頭文字を取って[LASER]という言葉の語源です。日本語訳では「輻射の誘導放出による光増幅」といいます。

 レーザー光は、密度が高いので高エネルギーを持ちます。また拡散は少なく光は単一波長です。この特徴を医学的に活用したのが「レーザーメス」で、組織を切開できるのは光線がもっている熱エネルギーの力なのです。

レーザーの波長と種類について

空間を伝わる波が持つ、周期的な長さの事をレーザー波長と言いますが、パルス幅つまり発光時間や波長によって、治療の意図は変わるのです。医療の現場で使用するレーザーは、大きく次の2つに分けられます。

〇低出力レーザー
筋肉の緊張を低下させることや血行促進などの目的でしようするレーザーの事

〇高出力レーザー
血液の凝固や組織の切開・切除にしようされるレーザーメスの事

代表的な医療レーザーと波長について

医療の現場でよく使用されているレーザーの特徴と波長についてみていきましょう。

〇炭酸ガスレーザー(CO2レーザー)
炭酸ガスレーザーは水分に吸収されるのも早く、組織の水分にもすばやく吸収され熱エネルギーへ転換されます。レーザーメスは外科手術でも使用されていて、歯科や美容外科ではイボ、ホクロの除去が出来るのです。出力は大きく波長は10.6μmで、皮膚への使用は傷跡が残るリスクもあります。

〇ヤグレーザー(Nd:YAGレーザー)
ガーネット・アルミニウム・イットリウムのYAG(結晶)にNd(イオンのネオジウム)
を混ぜ合わせたものを媒体にしていて、水分に吸引されにくい特徴を持っています。その為
美容外科で入れ墨の除去はレーザー脱毛などに使用されていて、そのほかには膀胱内の治療や深部の凝固など手術で使用されます。波長は1064nmです。

〇ダイオードレーザー
他のレーザーに比べて痛みが少なく、難しいとされている産毛の脱毛もする事ができます。
脱毛用で使用されるレーザーで波長は950nmまたは810nmです。

〇ダイレーザー
ダイレーザーは血管中のヘモグロビンに選択や選別をして吸収される特徴があります。異常がある箇所のみに反応できる為、その赤色に反応するという特性を活かし毛細血管拡張症の治療・静脈瘤も改善・赤あざの治療に使用されています。波長は577nmです。

〇ルビーレーザー
ルビーという名前ですが、実際に発振物質に本物のルビーを用いて使用されます。ルビーレーザーは694nmという可視光線の一部の波長を持っていて、メラニンなどの色素によく吸収する性質を持っています。

そのため、正常な皮膚や血管にはほとんど吸収されません。正常な組織への損傷を抑えて、アザやシミの色素のみ破壊します。その他にはホクロ・そばかすの除去・脱毛にも使用されています。

まとめ

今回は代表的な医療用レーザーとレーザーメスの波長についてお伝えしてきました。現在でも多くのレーザーが医療現場で使用されていますが、将来的にはガン治療など難病の治療に活躍する医療レーザーの可能性も見えてきています。これから飛躍していく治療用機器のひとつに間違いありません。

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