【事例】レーザーメスの出力と医療事故について

治療用機器

レーザーメスや電気メスは熱エネルギーを利用した医療機器で外科手術において切開や切除、凝固などさまざまな用途に使用されています。現在の医療現場で必要不可欠な機器ですが、使用方法や出力設定、操作を誤ると重大な医療事故へと繋がるおそれもあります。
2016年5月には手術中にレーザーメスを使用していたところ、患者に掛けられていた布に火が付いて患者がやけどを負うという事故が起きています。(日本経済新聞)
また、医薬品医療機器総合機構は光源装置、電気メス、レーザーメスを用いた手術時の熱傷事故についての注意点を明示しています。(こちらからダウンロードできます)

○事例からみるレーザーメス・電気メスの注意点

レーザーメス・電気メスにおける事故やヒヤリハット(事故に至る可能性がある事例)はどのような具体例があるのでしょうか?

事例1
上消化器の手術であったが、下消化器手術の出力設定になっていた。手術中に看護師が気づいてすぐに設定を変更した。

【原因】
次の手術が控えていたため焦っていた。上消化器の出力設定を行なったと思い込んでいた。

【対策】
急いでいたためにレーザーメスの設定を怠った一例です。レーザーメスの出力設定は毎回声に出して確認することが対策になります。

事例2
子宮頸部の切除手術においてレーザーメスを用いていた。レーザーメスで蒸散を試みたがうまく止血できなかったため電気メスを用いて凝固(止血)を行なった。電気メスを使用している際に間違ってレーザーメスのフットスイッチを押してしまい覆布に引火してしまった。すぐに消火したため患者には火傷などはなかった。

【原因】
電気メスとレーザーメスを併用して処置を行なっていた。

【対策】
複数の機器(フットスイッチ)を扱う際には声に出して確認を行うことが有効です。また、レーザーメスを使用するたびにスタンバイ状態にしておくことも対策となるでしょう。

事例3
子宮頸部レーザー円錐切除術を行なった。手術終了後にドレーピングを外すと鼠径部に熱傷を発見。すぐに冷却処置を行い軟膏塗布、ガーゼ保護を行なった。

【原因】
レーザーメス使用中はプローブの先端が非常に高熱になることへの意識ができていなかった。プローブ先端の高熱部分がドレーピングを通して火傷になっていると気が付かなかった。

【対策】
レーザーメス使用中はプローブの先端が非常に高熱になっていることを認識しておきましょう。手術中にプローブを患者の腹部に置く際にはプローブの先端が患者の方へ向かないようにする、または腹部に置かないようにしましょう。

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