心電図負荷検査について

生体現象測定記録・監視用機器

はじめに

心電図による負荷検査は、「マスター2階段試験(シングル・マスター)」や「トレッドミル負荷試験」、「自転車エルゴメーター」などさまざまな種類があります。これらの検査は、運動で心臓に負荷をかけて心電図で測定・記録を行うものです。
この記事では、負荷心電図検査の目的や内容、検査でわかることなどを、ご紹介していきたいと思います。

負荷心電図検査の目的は?

わたしたちの心臓は、運動などの負荷をかけることによって動きが速くなり、たくさんの血液を必要とします。負荷心電図検査では、このときの心臓のリズムの変化や、心臓に十分な血液が行きわたるかどうかを確認していきます。

心電図による検査は、心臓の状態を診るもっとも基本的な検査です。しかし運動時に心臓の異常などが見られる場合は、安静時の心電図検査では正確な状態を知ることができません。そこで被験者に軽い運動をしていただいて心臓に負荷をかけ、運動前後の心臓の状態を確認するのが、「心電図負荷検査」です。
次の項では3つの検査をピックアップしてご紹介します。

マスター2階段心電図検査とは?

「マスター2階段試験」は、いわゆる踏み台昇降の要領で行う検査です。具体的には、高さ23cmの階段2段をシングル試験ならば1分30秒、ダブル試験ならば3分間昇り降りして、運動前と運動後の心臓の状態を測定・記録していくものです。
シングルタイプの検査にするかダブルタイプの検査にするかは、年齢や性別、体重などを考慮し選びます。
検査後は安静にしていただいて、3分後と5分後に心電図で測定、必要に応じて5分後以降も検査し結果を記録します。

方法が異なる2つの心電図検査とは?

つづいては平面を歩く心電図負荷検査で、動く道路のようにベルトの上を歩く「トレッドミル負荷心電図検査」と、固定した自転車に乗って検査する「自転車エルゴメーター心電図検査」について紹介します。

トレッドミル負荷心電図検査

この方法は、被験者の胸に電極をつないだ状態でベルトの上を歩いてもらい、3分ごとにベルトの速度や傾斜を変更し、そのときの心電図・血圧・心拍数の状態を測定し記録していく方法です。

自転車エルゴメーター心電図検査

先ほどと同じく被験者の胸に電極をつなぎ、地面に固定した自転車に乗ってペダルを漕ぐ検査です。さらに一定の時間ごとにペダルの重さを変えて負荷をかけていき、そのときの心電図・血圧・心拍数の状態を測定し記録していきます。

負荷心電図検査で異常が見られる場合

負荷心電図検査で異常が認められた場合は、さらに追加の検査を行います。

例えば、虚血性心疾患(狭心症など)が疑いがあるときは、「心臓超音波検査」「ホルダー心電図検査」「心臓カテーテル検査」「冠動脈造営検査」が追加され、さらに詳しく調べます。
さらに不整脈の疑いがあるときは、「ホルター心電図検査」「X線検査」にてより深い検査をします。

まとめ

安静時の心電図では、症状がわからない心疾患があります。そこで被験者に軽い運動をしていただいてその後の心臓の状態を確認するのが「負荷心電図検査」になります。症状を正確に把握し、適切な治療につなげていく大切な検査です。

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