手術台など医療機器の耐用年数と耐用期間の違いについて

生体現象測定記録・監視用機器

はじめに

一般的に、手術台の耐用年数は5年です。
といっても、5年を過ぎれば使えなくなるということではありません。
「耐用年数」とは、使用可能な年数のことではないからです。

耐用年数

耐用年数とは、財務省例によって決められているもので、固定資産の税務処理において減価償却をする際に、減価償却費を計算するための基準となる年数のことをいいます。物理的な耐久性とは別の概念であり、機器の寿命をあらわす言葉ではありません。
つまり冒頭で述べた「5年」というのは、減価償却資産としての手術台に関する税務上の耐用年数ということになります。

ちなみに、耐用年数は「手術台」という項目名で決められているわけではなく、「手術機器」という項目名での耐用年数が5年となっています。
ですから、手術台であっても、税務処理上「手術機器」と解釈されなかった場合には、耐用年数が変わってくることになります。
なお、それ以外の主な医療機器の耐用年数を見てみると、消毒殺菌用機器が4年、血液透析又は血しょう交換用機器が7年、調剤機器が6年、歯科診療用ユニットが7年、内視鏡(ファイバースコープ)が6年、自動血液分析機器で4年などとなっています。

耐用寿命と耐用期間

平成14年度に組織され、平成16年度にかけて実施された厚生労働科学研究「医療機器の耐用期間設定評価手法に関する研究」の最終報告書に示された「医療機器の耐用期間設定評価手法ガイドライン」には、医療機器の「耐用寿命」と「耐用期間」についての記載があります。
それによれば、「耐用寿命」とは「さまざまな条件の結果、その医療機器が使用できなくなる期間」のことをいいます。
また、「耐用期間」は「その医療機器を標準的に使用している状況の中で、部品や補用品などを交換したり、修理やオーバーホールを繰り返し行ったとしても、その医療機器の信頼性や安全性が目標とする値を維持できなくなると予想される耐用寿命」のことになります。

簡単にいえば、メンテナンスを行い普通に使用していたとしても、その医療機器を安全に使うことができなくなると、科学的・実証的に考えられる時期のことを「耐用期間」というわけです。

最後に

以上で述べてきたように、「耐用年数」とは税務処理上で用いられる用語であり、医療機器の使用可能な年数を調べたいようなときには、あまり参考にはなりません。
医療機器の使用可能な年数を知りたいのであれば、「耐用年数」ではなく「耐用期間」を参考に考えるということになります。

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