血圧計に表示される「不規則脈波」とは?

生体現象測定記録・監視用機器

はじめに

近年の血圧計は技術的な進歩により使いやすさだけでなく、機能面でも発展を遂げてきています。
血圧を測るだけではなく、通常とは異なる状況になった場合に、それを知らせる機能も充実してきており、そのような機能の中でも「不規則脈波」を検出することのできる商品が多く発売されています。
ところで、この「不規則脈波」とは何のことを指すのでしょうか?
以下で見ていくことにしましょう。

脈波とは

そもそも脈波とは何のことなのでしょうか?
心筋の収縮により血液が心臓から大動脈中へと送り込まれると、大動脈の内圧に変化が生じ、この変化は振動となって末梢の動脈へも伝えられます。
この変化(振動)を波形グラフに表したものを脈波と呼ぶのです。

電子血圧計で採用されているオシロメトリック法と呼ばれる測定方法では、カフで上腕部などの血管にいったん圧力を加えたあと、緩めていきます。この緩める過程で脈波が急激に大きくなる時期と、急激に小さくなる時期があります。
前者の大きくなる時期のカフ圧を最高血圧、後者の小さくなる時期のカフ圧を最低血圧としています。

不規則脈波とは

脈波と脈波の間隔に、平均的な値と比較して25%以上の開きがある場合、これを不規則脈波といいます。
ただし、電子血圧計から不規則脈波の検出が表示されたとしても、必ずしも不整脈とは限りません。
不整脈でなくても、何らかの理由により脈波が正しく検出されなければ、不規則脈波として表示されてしまうからです。
ただし、そのような表示が頻繁に繰り返されるようならば実際に不整脈の可能性もありますので、病院で診察を受けたほうがよいでしょう。

不整脈の種類

仮に血圧計で検出された不規則脈波が不整脈によるものであった場合、その不整脈にもいくつかの種類があります。

徐脈

間隔が異常に長くなる、つまり脈が異常に遅くなるケースのことをいい、1分間あたりの脈拍が50回ないし60回未満の場合がこれにあてはまります。
生命に関わる事態になることはそれほど多くありませんが、脳へ送り込まれる血液が不足するため、じっとしていたり、軽い運動をしたぐらいでもめまい、息切れ、失神などの症状を起こすことがあります。

#頻脈

徐脈とは上記とは反対に間隔が異常に短くなる、つまり脈が異常に速くなるケースのことをいいます。
1分間あたりの脈拍が100回以上のものがこれにあてはまります。
また、1分間あたりの脈拍が250回以上のものは細動と呼びます。
この細動が心房で生じた場合には脳梗塞につながる危険がありますし、心室で生じた場合には突然死を起こすことも珍しくありません。

期外収縮

正常な脈と脈の間に、不規則な脈が出現する状態のことをいい、30歳以上の成人であればほとんどの人にみられます。
特に心配する必要のないケースがほとんどですが、あまりに頻繁に起こるときは治療を要することもあります。

最後に

先ほども述べたように、血圧計で不規則脈波の表示が出たとしても、直ちに心臓などに異常が生じているとは限りません。
しかし、繰り返しそのような表示が出るようなら、医療機関で診察を受けたほうがよいでしょう。

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