ファイバースコープを用いた手術のメリット

生体現象測定記録・監視用機器

患者を適切に治療したい。その為に患者の体内を観察出来ないか?この問いはとても古い時代からありました。患者の体を切開せずに、体内の様子を観察する事が出来るファイバースコープが実用化されたのは近代に入ってからの事ですが、その発展は目覚ましく、現在はファイバースコープを用いた手術も珍しいことではありません。今回は、ファイバースコープの歴史とファイバースコープを用いた手術のメリットをお伝えします。

ファイバースコープの歴史/h3>
ファイバースコープとは狭義では、チューブの先端のレンズで捉えた像をチューブの反対側の先端に取り付けられたスコープで観察する機器の事を言います。

ヒトの体内を観察するファイバースコープ(内視鏡)の歴史は非常に古いのですが、光ファイバーが発明される以前は、硬性鏡と呼ばれる自由に向きを変える事が出来ない固い素材の物が使われていました。また、体内の様子はスコープを覗いている医師一人しか見る事が出来ないという欠点がありました。

1950年代、ファイバースコープの先端に小型のカメラを備え、ヒトの体内を撮影する事が出来る機器が実用化されました。一般的に胃カメラと呼ばれる物がこれです。胃カメラの実用化によって、複数人の医療スタッフが情報を共有する事が出来るようになりましたが、患者の体内に挿入している時にリアルタイムで観察する事が出来ないという欠点がありました。

更に時代が下り、1970年代になるとヒトの体内で自由に向きを変えられる光ファイバーと、その先端に備える超小型高精度のCCDカメラが実用化されました。ビデオスコープと呼ばれる機器の登場です。これにより、撮影した映像を体外のモニタに映し出す事が出来、複数の医療スタッフが、リアルタイムで患部を詳しく観察する事が出来る様になりました。

ファイバースコープを用いた手術

現代では、ファイバースコープでがんやポリープを発見するだけでなく、ファイバースコープの先端に備えたワイヤやナイフを用いて、がんやポリープを切除する事が可能となっています。仕組みは、胃など体内に生じたがんやポリープの出っ張りの根元に、ワイヤ(スネアと呼びます。)の輪をかけます。そして体外から医師の操作でワイヤの輪を閉じ、電気を流す事でがんやポリープを切り離してしまうという物です。

口や肛門から挿入するだけでなく、体を切開しての手術についても、従来の胸やお腹を大きく切開する手術と比べて、傷跡が格段に小さくて済む、手術時間が短くて済む、患者への体力的負担が少なくて済む(低侵襲手術と呼ばれます。) 大きなメリットがあります。

まとめ

今回は、ファイバースコープの歴史とファイバースコープを用いた手術のメリットについてお伝えしてきましたが、医療の進歩は止まる事を知りません。これからもより使いやすく、患者さんに負担の少ない機器が登場してくるでしょう。

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