CT装置の構造を考える

生体現象測定記録・監視用機器

人一人が全身まるごとすっぽり収まるほどの大きさのCT装置。身体を輪切りにしたような形の断面図を写し出すこの医療用の機械は、いったいどのような構造から成り立ち、どのような仕組みで検査を行っているのでしょうか。そのあたりを見てみましょう。

CT装置の機能および外観

CT装置は、身体の内部を輪切りにしたような断面図として写し出す医療機器です。これを使うことにより、実際に身体を切り開き直接中を診ることなく、それに近いかたちで体内の状態を観察できます。

CT装置は外観的に、検査を受ける方が横になる「クレードル(寝台)」、そこに横たわる方の身体周囲を取り囲む円環状の「ガントリ(架台)」、そしてこれらの操作と検査画像の表示を行うコンピュータ端末である「コンソール」の3つから構成されています

CT装置および検査の仕組み

ドーナツ状であるガントリの中央に空いた穴の内側表面は樹脂製のカバーで覆われており、その内部にはX線を照射する「X線管球」と透過したX線を受ける「検出器」が、それぞれガントリの穴をはさんで向かい合うように設置されています。

CT検査とは、このガントリに内蔵された管球と検出器によって行われるX線撮影の一種と言えるでしょう。約700kgの重量があるX線管球とその向かい側に円弧状に配置された検出器がガントリ内部でおよそ0.5~0.3秒の速度で回転しながら、クレードル上にある被検者の身体をX線撮影し、それによって得られたデータからコンピュータ解析によって身体断面画像を作り出し、コンソール部のモニターに表示します。CT装置は検査の際おおむねこのような機構で可動します。

構造上の発展

CT装置は時代が進むにつれ性能的に進歩しています。運用当初はクレードル外周をX線管球および検出器が一回転しながらX線撮影を一回行い、そこで一旦クレードルの位置を被検者の視点から見て縦方法へずらし、今度は前と逆の方向へ一回転させながらX線撮影を一回行う、という手順を繰り返す方式でした。

しかし、後に装置の開発が進み、X線管球および検出器が螺旋状に連続回転しながら撮影される方式の「ヘリカルCT」が主流となっています。また検出器についても、初期は1列しかなかったものが機器の発展とともに4列、8列、16列、32列、64列と倍に増えていき、より詳細なデータを基にして画像化される方向へと高性能化しています。

これによって、検査中の心臓の拍動など、かつては解析が困難だった動きを伴う体内の撮影精度も時代を追うごとにどんどん向上していくことになりました。

まとめ

ここまで、医療機器としてのCTは身体断面図を診る検査に使用され、外観的にクレードル、ガントリ、コンソールの3つから構成されること、ガントリ内のX線管球と検出器から得られたX線撮影のデータをコンピュータ解析し身体断面図として画像化する仕組みであること、時代を経るにつれより高性能なタイプの装置が開発されていること、について見てきました。

以上のことから、CT装置の構造について概略的に把握していただけるかと思います。

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