脳波計の原理について

生体現象測定記録・監視用機器

皆さんは脳波計と聞いて何を思い浮かべるでしょうか?脳波を測る機械ということは理解できても、その仕組みや原理についてはイメージしにくいのではないでしょうか?そもそも脳波って何?というところに行きつくと思います。ここでは脳波について、また、脳波計の原理について書いていきたいと思います。

そもそも脳波って何?

ガルバニーのカエルの実験というのを聞いたことがあるでしょうか?
1780年ガルバニーは真鍮製の鈎にカエルを引っかけていました。そのカエルの足が鉄柵の棒に触れると、ピクンと足が収縮したのです。そのことに着目したガルバニーは生体内の電気的作用を発見しました。

脳波の発見は、1875年イギリスのケイトンが動物の脳の電気活動を報告したこと、さらに、1924年に精神科医ハンス・ベルガーが人間の脳での電気現象を記録しその後、論文を発表したことに始まります。

脳内での電気現象というものを、もう少し詳しく見ていきましょう。

脳内の電気現象の正体とは?

人の脳内には、情報をやり取りするニューロン(神経細胞)というものが存在します。その数はなんと、数千億。情報はニューロン内部と、別のニューロンとの間でもやりとりされます。内部では電気的方法で、別のニューロンとの間では化学的な方法(神経伝達物質)で情報をやり取りしています。

脳波計で測る電気現象とは、別のニューロンとの間でのやり取りで起こるモノです。
ここで、おや?と思う方もいるかもしれません。別のニューロン間では確か神経伝達物質で情報をやり取りしていたはずです。詳しく見てみましょう。

あるニューロンから別のニューロンに情報が伝わるとき、シナプスと呼ばれる間隙に伝達物質が放出されます。それを受け手のニューロンがとらえると、イオンチャンネルというイオンの通り道が開きます。イオンの出入りが発生すると、結果的に電気的活動が生じるというわけです。

脳波計で測定されるのはこの電気的活動で、「シナプス後電位」と呼ばれています。

一つのニューロンのシナプス後電位を測定するのは、それがあまりに小さいため物理的に不可能です。通常数百万単位のシナプス後電位の集積を測定することになります。それでもまだ微弱なため、増幅器により信号を大きくしなければなりません。

脳波計の歴史は、この増幅器の開発の歴史といっても過言ではありません。初期のころの真空管時代、トランジスタ・マイコン時代など、雑音を取り除くのに多くの苦労がありました。現在では「差動増幅器」というものが使用され、雑音はほとんど取り除かれています。

まとめ

脳波にはある程度、正常時の基準的な動き方があります。ところが「脳精神疾患、てんかん、頭部外傷」などがあると脳波異常を示すことが多く、脳波は診断・治療に重要な役割を持っています。脳波、脳波計の役割は医学上とても重要です。

これまでもそうであったように、これからも技術の進歩は止まることはないといえるでしょう。

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