脳波計の仕組みと最大感度

生体現象測定記録・監視用機器

18世紀、動物実験から生体内の電気作用が発見され、人の脳波を測る脳波計が発明されました。頭部数か所に幾つかの電極を置き脳活動に伴って発生する脳波を読み取る脳波計ですが、なぜ脳波計で脳波が読み取れるのか、その仕組みと最大感度といった基本的な要件について説明します。

脳波計のはじまり

脳波計の原型となるモデルが1930年から1935年の間に開発されたのですが、当初は真空管による抵抗容量結合の増幅器で、周囲の雑音に弱く安定した記録には苦労があったようです。しかし、すでにインクを用いて紙に記録をしたということが判明しています。

日本では1936年に東北大学の松平が実験用の脳波計を製作しており、その後1943年まで北海道大学、東京大学で製作されています。

脳波検査の目的

脳波検査のほとんどは「てんかん」や「意識障害」を診断する目的に用いられます。てんかんの特有である異常脳波はてんかん発作が出現していない状態でも出現することがあるため、脳波検査と頭部MRI、頭部CTなどの別の検査結果とも照らし合わせて診断をしていきます。その他にも、脳波検査が用いられる症状には、脳腫瘍や脳血管障害、脳死判別があります。

なぜ脳波計で脳波が読み取れるのか

脳内にはおよそ140億個の神経細胞(ニューロン)があり、脳内の神経細胞間で瞬時に情報が伝わり処理されることによって、人は考え、話し、動くといった行動をとることができます。

情報伝達をする際に化学物質が放出され微弱な電気信号が流れます。この電気信号の動き(脳波)を測定することによって、脳の動きを観察することができるのです。

脳波計の最大感度とは

最大感度を説明する前に脳波の「感度」について説明します。一般的に脳波とは0.5Hzから30Hzほどの周波数で、波形としては50μVくらいで記録されることになります。この「感度」とは、脳波を記録する際の振幅の大きさなどを感知する電流の大きさのことを指します。

電極によって検知された脳波は縦軸に電位、横軸に時間をとった脳波計の記録紙上に記録されます。このときの感度は10μV/mm(100μVを10mmで描記する)が標準であり、最大感度は1μV/mmとなっている脳波計が多いようです。

なお、厚生労働大臣が指定する脳波計の最大感度は2.5μV/mm以上を備えている必要があると規定されています。また、測定の際に感度の誤差は±10%以内であることが条件となっています。

まとめ

脳波検査の運用方法の中の「記録感度の設定」では、標準的な感度は10μV/mm(50μV/5mm)を基準にしておきます。検査の項目に応じて5倍、2倍、1/2倍、1/5倍の感度に変更します。

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