麻酔器のクラス分類

生体現象測定記録・監視用機器

検査や手術の際に痛みを取り除くため、薬品や注射針などを用いて一時的に感覚をなくすことができる麻酔ですが、今回は「麻酔器」が医療機器のクラス分類において、どの位置付けにあるのかを見ていきましょう。

医療機器のクラス分け

医療機器については「薬機法」という法律によって規制されており、医療機器は「人や動物が病気などになった場合の診断や治療に使うこと、体に何かしら影響が出るもの」とされます。そのため、使用方法によって不具合が生じた際に体に及ぼすリスクの程度や用途・種類により、医療器具が分類されています。

様々な医療機器が存在することから、その使用方法も多種多様となっています。それぞれの医療機器が、どのように体に影響を及ぼすのかは機器によって異なります。そこで「薬機法」では、以下に記載するクラス分類の基本的な考え方をもとに、医療機器にトラブルが発生したときに生体にもたらすリスク度合いに応じて、4つのクラスに分類しています。

クラス分類の基本的な考え方

以下の3つを基本的な判断基準とします。

①生体への接触部位
②生体との接触時間
③不具合が生じた場合の危険性の大きさ

クラス分類

人体に対するリスクの度合いによって、以下のようにクラス分類されます。

クラスⅠ:不具合が生じた場合でも、人体へのリスクがきわめて低いと考えられるもの(ピンセット、機械式聴診器、体外診断用機器、ネブライザ、X線フィルム、水銀形式血圧計など)

クラスⅡ:不具合が生じた場合でも、人体へのリスクが比較的低いと考えられもの(電子式血圧計、消化器用カテーテル、MRI、注射針、心電図、聴診器、家庭用マッサージ器など)

クラスⅢ:不具合が生じた場合、人体へのリスクが比較的高いと考えられもの(透析器、バルーンカテーテル、人工骨、粒子線治療装置、輸液ポンプ、人工呼吸器など)

クラスⅣ:患者への侵襲性が高く、不具合が生じた場合、生命の危機に直結するおそれがあるもの(ペースメーカー、ステント、人工血管、人工乳房、吸収性縫合糸など)

医療機器である「麻酔器」のクラス分類はⅢになります。

麻酔薬気化器のクラス分類

麻酔器には揮発性麻酔薬専用の気化器が備え付けられています。酸素、空気、亜酸化窒素の一部を気化室に取り込み、揮発性麻酔薬で飽和し、一定の濃度を維持する仕組みになっています。では、麻酔薬気化器のクラス分類はどのようになっているのでしょうか。

〇クラス分類Ⅲ:イソフルラン用麻酔薬気化器、デスフルラン用麻酔薬気化器、セボフルラン用麻酔薬気化器、エトラン用麻酔薬気化器、エーテル用麻酔薬気化器

〇クラス分類Ⅱ:ハロタン用麻酔薬気化器、メトキシフラン用麻酔薬気化器

まとめ

医療機器のクラス分類と麻酔薬気化器のクラス分類についてご紹介しましたが、医療機器は使用する従事者の使用方法でもリスクが生じることがあります。医療の進歩によりさらに医療機器も進歩をしていく中で、常に医療機器の情報を把握しておく必要があります。

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