X線を利用したCT装置の仕組みについて

生体現象測定記録・監視用機器

人体内部の断面図的に撮影するCT装置は、現代医療に大きく貢献している医療機器の1つであると言えるでしょう。その原理はX線撮影を応用したものですが、いったいどのような仕組みで人体内部の様子を知ることができるのでしょうか。見ていきたいと思います。

CT装置の構造

CT装置は、X線の照射及び検出を行う部分となる「ガントリ」、被検者が横になる「クレードル(=寝台)」、機器の操作及び撮影された画像の表示がなされる「コンソール」の3つから構成されています。

ガントリは、クレードル上にある被検者の身体周囲を取り囲める大きさのドーナツ型の形状をしています。表面は樹脂製のカバーで覆われていますが、その内部にはX線管球と検出器が円環上で向かい合う形で配置されています。X線管球は700kgもの重量を有し、間にクレードルを挟んでこれと向かい合う検出器は円弧状の形状を取っています。

検査中、このX線管球と検出器がガントリ内において、最速で1周当たり0.275秒もの高速回転を行い、700kg以上の重量に48.5Gもの重力がかかることとなります。ガントリはその加重に耐え得る程の頑丈な構造をなしているわけです。

そして被検者を乗せたクレードルは検査中、ドーナツ状のガントリの開口方向にスライドする動きをなします。

CT検査は、装置の物理的動作だけを見れば、ガントリの回転とクレードルのスライドを併せながら行われると言えるでしょう。

CT検査の仕組み

CT検査では、前述のガントリとクレードルの動作と連動してX線撮影を行うことにより、検査結果となる人体断面図が作図されていきます。

X線とは高い運動エネルギーを持つ電磁波すなわち放射線の一種であり、人体など物質を透過する性質を持っています。X線が物体を透過する際、その物体の密度の違いによって透過率が変わります。この透過率の違いが影の濃淡となって現れるのですが、この原理を利用したのがX線撮影というわけです。

このX線撮影を応用し、機械的動作による連続撮影を行う方法を取ったものがCT検査に相当します。ガントリ内のX線管球からX線が照射されてクレードル上の被検者の身体を透過し、その透過後のX線を、X線管球の反対側に位置する検出器が受け取ります。

この形式で行われるX線撮影を、ガントリを回転させながら行えば、人体を輪切りにするような形でX線が照射されたこととなります。この時に検出器が受けたX線の影をデータ化しコンピュータ解析すれば、コンソール部の画面に人体を輪切りにした形の断面図が描き出されます。

クレードルをスライドさせれば、人体断面図を描写する箇所を変えることができます。
CT検査はこのような仕組みで行われるわけです。

また現在では、ガントリとクレードルの動きを連動させながらX線を照射することで、人体内部を立体的に描写することを可能としたCT装置も開発されています。

まとめ

以上のように、CT装置はX線撮影を行うガントリ、被検者を乗せるクレードル、操作及び検査結果画像を表示するコンソールの3部分で構成され、ガントリの回転とクレードルのスライド動作と併せて、X線撮影を行い得られたデータをコンピュータ解析することによって人体内部の画像を描き出す医療機器であることを確認しました。

医療機器の原理や構造を知ることで、さらに精度の高い検査に繋げられるかと思われます。概略的ではありますが、そのための参考としてお役に立てれば幸いです。

ピックアップ記事

関連記事一覧