靭帯の撮影に向いているのはMRIかCTか?

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靭帯というと、よく聞くのは「靭帯が伸びた・緩んだ・損傷した」などといった事が一般的です。では、靭帯の異常を確かめるにはMRIとCTではどちらが適しているのでしょうか?その違いと撮影方法を見ていきましょう。

二つの違い

MRIは大きな磁石とラジオなどで使用されている電波の力を使い、体の中の状態を画像として映し出します。体の中の水素原子を電波と磁場の力でゆすり、原子の状態を画像化するのです。

また、CTはX線を使用して撮影しますが、これは放射線を使用し得られた情報をコンピューターが解析を行い画像を作ります。

それぞれの部位

ここでは、骨、関節(靭帯を含む)、軟部疾患について、それぞれの特徴をみていきます。骨折や骨腫瘍に関してはCTでも診断は可能ですが、関節(靭帯を含む)場合はMRIが選択肢としては一番といえます。軟部組織に関しては、造影剤を使用すればどちらでも可能ですが、MRIのほうが内部の状態がよりわかりやすいといえます。

しかし、これらの部位に関してはMRIがCTよりも良いわけですが、時間が掛かるMRIの場合は、痛みをともなうであったり緊急を要する患者さんの場合には、短時間で撮影ができるCTを使用するか後日、再撮影をすることになります。

靭帯にはどちらがよいか?

膝・肩・股・肘関節など大きな関節については、MRIが適しているといえるでしょう。また、手足の関節においても同じとなります。主に、関節を構成する靭帯・半月板・腱板・関節包・滑液包などの軟部組織の状態が、わかりやすくなります。

靭帯の撮影

靭帯の撮影には、MRIが適しているという事がわかりました。では、例えば、膝関節の靭帯についてですが、靭帯と言ってもその箇所によって呼称が異なります。

●前十字靭帯(ACL)
●後十字靭帯(PCL)
●内外側副靭帯
●膝蓋靭帯
など

膝でもこれだけのものがあるわけです。MRIを用いて撮影する場合に、靭帯の損傷などが起こった際にはどのように画像として見えるかというと、正常な場合は黒く、損傷があると灰色に変化して見えます。

損傷の程度は、その強さや種類により違ってきますので、その色の違いによって判断することになります。その撮影の仕方によっては、損傷があるとしても特殊な現象の影響を受けてきちんと見えないことがあります。この現象は「マジックアングル効果」といわれ、この影響によって靭帯を評価する際に黒のまま(正常)で見えるわけです。

この現象の影響を受けないようにするためには、撮影する際の膝の状態が関わってきます。例えば、前十字靭帯を撮影する場合は、真っすぐ膝を伸ばした状態で撮影した場合よりも膝を15度ほど曲げた状態で撮影することで、影響を受けにくくすることができます。

まとめ

靭帯の検査をするには、MRIが最も適していることがわかりました。また、MRIとCTの違いについてもざっくりとみてまいりました。それぞれの特徴があり、その症状や状況によって使い分ける事が重要といえます。

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