手術台の抑制帯の必要性を患者と共有する事

生体現象測定記録・監視用機器

手術台の抑制帯についての使用には、ガイドラインに沿った行為でなければなりません。手術を受ける患者にとっては、手術自体が恐怖の対象です。抑制帯についての使用の説明が必要となり、安心して手術に向き合ってもらう為の配慮となります。

抑制帯を使用する必要性

抑制帯は、拘束する為の装具であり、これを使用する為の、ガイドラインが存在します。日本看護倫理学会が患者に対する行為を定めたものであり臨床倫理に基づいた記載としてガイドラインが作成されました。

この目的は、身体を拘束する為の装具は、患者の安全を確保するものであり、患者の人格を否定するものではありません。手術中の体位の安定を図る事が、患者の安全を守る事につながるのです。

患者を固定していないと、手術台から落ちる可能性や、手術の妨げになる事から生命の危険に及ぶ関係性が強い為に、使用する必要があるのです。だからと言って、医師や看護師がその使用を、独断で判断する事が出来ない為に、患者への十分な理解と説明を必要とします。抑制帯を使用出来なければ、生命の危険性に及ぶので手術の続行が出来なくなるのです。

身体拘束のガイドライン

身体拘束には、使用する為の三原則が定められており、それぞれの規定に沿った指示によって身体拘束が行われています。

1.切迫性の使用
患者の生命または身体に危険が及ぶ可能性がある意識障害や、説明理解力低下による症状と精神症状に伴う不穏及び興奮状態の場合に、行動の制限を必要とする使用です。精神的な疾患や薬による影響下では自分の意思には関係なく暴れたりする事により落下や殴打による事故によって身体を傷つける可能性が高くなり、医師や看護師の要請に対する判断力が出来ない状態などに使用されます。

2.代替性の使用
薬剤の使用や病室内環境の工夫では対処不能となる場合や継続的な見守りが困難な場合に際して、患者の安全を守る方法が行動制限以外になかった為の使用です。監視体制が不十分であり患者の了解を得た必要性や、手術などの場合に、行動の制限以外に患者の安全を確保出来ない場合に使用されます。

3.一時性の使用
緊急搬送の場合などは、身体拘束しないと移動出来ないような状態に、一時的な処置としての使用です。

以上の分類によって出来る限り身体拘束を行わない方法を検討しなければなりませんが、手術の場合には緊急性がある場合などに使用される事になっています。その場合でも、本人あるいは家族の同意を求める事になります。

特に身体拘束が必要な症状

せん妄という症状は、いろんな場合に起こる症状の為、手術時の場合に現れるとより危険性が高くなる為に身体拘束を必要とされる症状です。せん妄は、意識水準の低下で起こる症状で、自分のいる場所や時間の認識が出来なくなり、正常な判断能力が出来ずに、予測不能の行動に及ぶ状態の事を言います。

通常の行動に問題がない場合でも、高年齢になるにつれて手術に対する不安や恐怖から、普段とは違う行動に及ぶ場合の症状が、出るようになります。他にもアルツハイマーなど脳疾患やアルコール依存症などの病状では、せん妄という症状が起こりやすくなります。

医療チームによる抑制帯を使用する際の手術目標などを定めて、手術が行いやすい体位を考える事や、麻酔管理が行いやすい体位や、患者さんの安全を確保した体位を考えます。患者の意識がある場合には、その意見を求める場合もあるのです。

まとめ

手術台の抑制帯の使用は安全確保の為に必要不可欠な場合がほとんどですが、それでも可能な限り身体拘束は良いとはいえない観点から、いろんな体勢での抑制帯の有無を考える必要があります。患者の安全が第一ですが、患者の尊厳を優先する事も配慮しなければならないのです。

ピックアップ記事

関連記事一覧