知っておきたい脳波計とその原理

生体現象測定記録・監視用機器

2017年はFacebookが脳波やニューロンに関するプロジェクトを発表し、2019年、同社は支援するカリフォルニア大学が脳波のパターンを人工知能で予測して思考を読み取ることに成功したと報じました。IT分野の参入によって注目されている脳波、脳波計の原理について語っていきます。

脳波計の歴史と進歩

1924年、ドイツの精神科医ハンス・ベルガーによって発見された「脳波」。その際使われたものは、体を流れる電流を計測する電流計であり、大変に大掛かりなものでした。ベルガーの発見はエポックメーキングなものでしたが、波形があまりにも微弱だったため、単なるノイズではないかという声も多かったのです。

しかし1929年、ベルガーは研究結果を論文にまとめ、「ヒトの脳波について」を発表しました。このことによって脳波の存在が証明され、当時の医学界において、脳の病気を診断する唯一の方法として脳波は注目を浴びるようになります。

日本では、1951年国産第1号の脳波計が作られています。検査内容を記録するのにも、多くの時間が必要でしたが、当時としては斬新的な装置でした。その後、日本では数多くの脳波計が考案され、世界の脳波計開発をリードしつづけています。

1970年代には、脳波計は軽量化に向けた開発が進むともに性能も飛躍的に高まりました。そして、コンピュータとの一体型になるといった現在使われている脳波計へと、大きな飛躍を遂げています。

脳波はデリケートな波形

脳波は、脳から発せられる電気活動を頭皮、脳表、脳深部などに置いた電極によって記録したものです。脳の活動を増幅して記録し、波形をとっていきます。

脳波を計測するというのは、脳の約70倍抵抗値が高い「頭蓋骨」を隔てた先にある脳のシナプスの外側に出てくるかすかなイオン電流を検出するということです。

脳波を測定、記録する装置を脳波計と呼び、それを用いた脳波検査は、医療での臨床検査として用いられています。

測定の原理

脳波を測定する場合、電極を頭皮上等に装着します。1つの電極が検出対象とする範囲には数百万以上の神経細胞が存在し、その数多い神経細胞が発する活動電位の総和を検出していることになります。脳波の速さは、ヘルツ、秒ごとの振動数であらわされます。

電極の配置は、一般的な原理・国際脳波学会が推奨する「10/20法」に準じています。この原理で装着位置が19ヶ所に指定されていますが、検査や研究の目的によって使用されている電極の数が変わる場合もあります。

測定される脳波の種類には、アルファ波、ベータ波、デルタ波、シータ波、ガンマ波の5つがあります。それぞれの脳波には、リラックスしている状態やストレス状態にあるなどが分かる心理、生理状態が反映されています。脳波計の役割も時代と共に多様化し、現在では病気の診断、治療ばかりでなく、脳死の判定にも大きく関わるようになっています。

まとめ

脳波の歴史から、脳波の性質、測定方法や多様化する脳波計の働きを確認してきました。脳波計の原理を知って導入をご検討ください。

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