横向きの検査や閉所恐怖症でも検査可能なMRIとは

生体現象測定記録・監視用機器

MRI検査に不安を覚える患者は多くいらっしゃいます。仰向けに寝ることに苦痛を感じる患者や、検査中に聞こえるカンカンと鳴り響く音、圧迫感、閉塞感は、通常の方でも嫌悪感を覚えます。閉所恐怖症の方は検査を受けられないほど恐怖心を覚える検査と言われますが、そのようなMRI検査を和らげるタイプのMRI検査があります。

MRIの種類

MRI装置は、オープン性の永久磁石タイプとトンネル型の超電導磁石タイプの2つがあり、それぞれの特徴ですみ分けがされています。

●永久磁石
最高静磁場強度(人体用):0.4T 最高静磁場強度(実験用):~2T 時間的安定性:△~〇
開放性:◎ 移動可能性:〇~◎ サイズ:〇 維持コスト:◎

●超電導磁石
最高静磁場強度(人体用):9.4T 最高静磁場強度(実験用):~20T 時間的安定性:◎ 開放性:△ 移動可能性:× サイズ:△ 維持コスト:△

このように見ると、静磁場強度、時間的安定性に関して、トンネル型の超電導磁石タイプが優れているように思えますが、それ以外の項目で永久磁石が優れています。

2種類の違い

上述した2種類は、磁場方向と静磁場強度の違いがあり、MRI撮像に与える影響も異なります。

●撮像音:MRIの撮像時の「音」は、静磁場強度に比例して大きくなります。超電導磁石タイプは100dBとなるのに対し、永久磁石タイプは、どの撮像でもおおよそ80dB以下となっています。

●撮像時間:MRIの撮像時間は、超電導磁石タイプは高いSNRにより積算回数を抑えられるとともに、パラレルイメージングの併用により、さらに撮像時間を短縮することができます。

オープンMRI(永久磁石タイプ)がやさしいと言われる所以

オープンMRIは、トンネル型(超電導磁石タイプ)と比較すると、開放的な造りになっていることから、狭い所が苦手な方や小児やお年寄りなど、これまでのMRI検査に抵抗があった方でも検査が受けられます。トンネル型(超電導磁石タイプ)とはまったく印象が異なり、装置の中に入るというよりも装置の間に横たわる感覚です。

中からの印象としては、両側が開いていて明るく、何よりも技師の顔が見えているので恐怖感が薄れます。

撮影中は、装置のコイルが振動することで工事現場のような音が響きますが、左右が開放的になっていることから、トンネル型よりも音が小さく感じます。

仰向けに検査をすることに抵抗を感じる方や、腰痛などで仰向けがつらい場合、従来のトンネル型では難しかった検査も可能となります。

・開口部が大きく、筒状ではないため恐怖感が薄れる。
・閉所恐怖症の方、腰痛などで仰向けができない方におすすめ。
・検査部位により差が生じますが、検査時間が短い。

まとめ

超電導磁石タイプのMRIの検査に抵抗のある患者、閉所恐怖症でパニックを起こす患者や仰向けでは検査ができない患者でも、やはり、MRI検査をしなくては症例がわからないことがあります。そのような際に、永久磁石タイプのMRIでの検査がすすめられるのであれば、患者の安心にも繋がります。

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