心電図による右心への負荷は、急性肺血栓塞栓症の疑いがある

生体現象測定記録・監視用機器

心電図によるモニターでは、心臓に負荷のある所見が現れた場合には、心臓の詰まりである、急性肺血栓塞栓症を疑う事に注意を払う事になります。心電図のモニターと右心への負荷の関係が、急性肺血栓塞栓症にどのようにつながっているのかを紹介しましょう。

急性肺性心の原因となる急性肺血栓塞栓症

肺動脈が急激に上昇を起こした場合に、右心室や右心房への負荷が原因となります。そのほとんどの場合が、血の塊による血栓が原因で血液を詰まらせる場合の急性肺血栓塞栓症によるものと考えられています。

肺血栓塞栓症の場合は、肺に血液を送り出す右心室や右心房への負荷が原因となっています。塞栓子(そくせんし)と呼ばれる物質には、様々な要因が考えられるのですが、その多くは、血の塊が原因である為に、「肺血栓塞栓症」として診断されています。

元々は、足の静脈にできた血栓の詰まりが静脈血栓として右心室や右心房への負荷をかける事になり、肺への静脈の血流が滞っている場合や、血液が固まりやすい体質の持ち主、静脈が傷ついている場合などが原因となります。

静脈の血流が停滞を起こす状態は、長時間おなじ姿勢で座り続けた場合により、引き起こされる場合もあるので、飛行機などのエコノミー席から引き起こす場合があることから、「エコノミー症候群」とも言われています。

下肢静脈でできた血栓が、右心系を経て肺動脈に到達した場合に、血管を詰まらせてしまうことや、他にも妊婦などが静脈を圧迫する以外にも、骨折の脂肪組織や、がんの腫瘍や細菌も原因となります。

急性肺血栓塞栓症の心電図の所見

心臓の拍動が速すぎた場合の頻脈が、不整脈となる「洞性頻脈」の場合や、心房が小刻みに動く事により、けいれんするような病状が心房に血栓を作る不整脈のひとつで、低酸素や低血圧や呼吸困難になる場合の原因として考えられます。

12誘導心電図を見る場合の左手側から右手、左足を三角形の位置関係で捉える四肢誘導と、胸部それぞれの電極の位置から目の視点で配置される胸部誘導によってモニターが表示されています。

心電図の波形は、P波が心房の興奮を示しており、QRS波が心室の興奮を表しており、T波が心室の興奮がさめる状態を示します。Q波は、上向きの波を示し、S波が下向きの波を表しています。

急激な変化に伴う症状の場合には、右心系の心臓に対して負荷を生じる事になり、Ⅰ誘導では、深いS波であり、Ⅲ誘導でQ波を示しており、続くⅢ誘導でT波の陰転を表す場合の「SⅠQⅢTⅢパターン」として心電図の所見を示す事になります。

胸部誘導においては、右室の急性負荷によって引き起こすV1~V3で陰性T波が表れており、伝導系の障害はないので完全右脚ブロックにはならない「不完全右脚ブロック」が見る事ができます。

左胸部誘導を示すV4~V6のS波が深くなる事や、左側にシフトする移行帯によって、時計方向回転を表す状態になっています。四肢誘導や胸部誘導では、ST低下が特徴的に見られるとは限らない非特異的な所見を示す場合があります。

このような所見では、呼吸・循環管理においては、重症例を引き起こす場合があるので、注意が必要となります。最悪の場合には、致死性不整脈や心静止の恐れがある為です。

まとめ

心電図による右心への負荷による事が原因となるモニターの所見では、急性肺血栓塞栓症を疑う事となりますが呼吸・循環管理の場合では、重篤に至る危険性があるので、モニターの所見には十分な注意が必要なのです。

ピックアップ記事

関連記事一覧