ファイバースコープ(消化器内視鏡)の洗浄消毒

生体現象測定記録・監視用機器

1980年代になり、消化器内視鏡後のB型肝炎感染や急性胃粘膜病変発症が報告されています。大規模な病院のみならず、クリニックなどでも内視鏡の治療がおこなわれていることから、内視鏡による感染事故を防ぐために洗浄消毒の徹底が必要です。

検査後の確実な洗浄が必須

検査・治療後の内視鏡は、粘液や血液に汚染されています。内視鏡は、次に使用できるよう確実な洗浄をおこない、汚染物質を取り除く必要があります。

不十分な処置は消毒効果を減少させ、次回の内視鏡診断の低下にもつながる他、感染のリスクも高まります。

洗浄消毒方法

内視鏡検査・治療の終了後、ベッドサイドでの処置、用手による事前洗浄、洗浄・消毒作業、洗浄・消毒の履歴管理について解説します。

【ベッドサイド洗浄】
1)検査が終わるとすぐに、内視鏡の外表面を、洗浄薬を浸したガーゼで拭く
2)洗浄薬(中性もしくは弱アルカリ性洗剤)を吸引し吸引チャンネル内に残留している粘液や血液などを含む体液を洗浄除去する
3)送気・送水チャンネルにAWチャンネル洗浄アダプターを取り付け送水する

【用手による事前洗浄】
1)防水キャップを取り付ける
2)洗浄薬を浸したスポンジなどでスコープ外表面を洗う
3)送気・送水ボタン・吸引ボタン・鉗子栓をスコープから外して洗浄する
4)洗浄ブラシで吸引・鉗子チャンネル内をブラッシングする

【洗浄・消毒作業】
1)内視鏡自動洗浄消毒機にスコープをセットする
2)漏水テストをおこなう
3)装置の設定を確認し作動させる
4)アルコールフラッシュをおこない、すべての管路を乾燥させる

【洗浄・消毒の履歴管理】
1)洗浄・消毒の記録を残す

洗浄水の安全性

水道水(飲料水)は無菌ではないといわれています。非結核性抗酸菌による汚染の危険もあるので、内視鏡の洗浄には滅菌水などの汚染されていない水の利用が望まれます。

しかし、現実にすべての洗浄水の清潔度合いを一律にあげることは難しく、また、残留塩素濃度が測定範囲内(0.1ppm以上)に維持されていれば、通常の培養では細菌(一般細菌、ブドウ糖非発酵グラム陰性桿菌など)の検出はほとんどみられません。

クリティカル器具とディスポーザブル製品

局注針や生検鉗子などは、クリティカル器具に分類され、感染リスクとして抗リスクに分類されるため、滅菌またはディスポーザブル製品の使用が必要です。

生検鉗子、細胞診用ブラシ、消化管治療用ナイフ、ERCP用カテーテル、十二指腸乳頭処置用ナイフ、穿刺針などは感染の危険性が高いと認識して、ディスポーザブル製品を使用することになります。

繰り返し使えるような製品を使用する場合は、その製品を取扱うメーカーの取扱説明書に従った十分な洗浄・滅菌が必要です。

まとめ

消化器内視鏡における院内感染の経路には、内因性と外因性があります。そのため、使用する内視鏡関連機器は患者ごとに洗浄・消毒をおこなわなければなりません。また、作業をおこなう従事者によってその質にばらつきが無いよう、質の管理を徹底することが望ましいのです。

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