人工呼吸器の清掃を適正に行う方法

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人工呼吸器とは、呼吸不全に陥った患者に強制的に呼吸を促す装置と、呼吸補助を行う装置などがあります。このような人体に影響を及ぼす医療機器の清掃には、十分な注意が必要です。人工呼吸器の清掃を適正に行う方法について紹介しましょう。

医療機器の分類ごとに清掃や消毒の基準がある

人工呼吸器も医療機器の分類に合わせて適正な清掃や消毒を行うようにします。

1.クリティカルに該当する場合
体内における無菌の組織成分や血管内への挿入の場合に使用する、外科用のメスや針と植え込み器材やその他の手術用関連の器材は、滅菌剤や消毒薬を使用し、殺芽胞性薬品は長時間の処理により滅菌を行います。

2.セミクリティカルに該当する場合
健常粘膜や損傷皮膚に接触する場合に使用する、人工呼吸器の場合や他の類似の器材など、呼吸器のチューブやネブライザーも該当します。滅菌剤や消毒薬を使用して、殺芽胞性薬品は短時間処理を実施し、高レベルの消毒を行います。

水治療タンクを清掃する場合は、病院用消毒薬のラベル表示の有を確認して使用するなどや結核菌殺菌性を用いて、消毒レベルを中レベルにして実施します。

3.ノンクリティカルに分類する場合
無傷の皮膚と接触する場合に使用する、聴診器などやテーブル上面は、病院用消毒薬のラベル表示の無いのを使用するなどや結核菌殺菌性を用いて、低レベル消毒を実施します。
※病院用消毒薬の分類ではラベル表示の有無を確認する必要があります。

人工呼吸器の清掃を適正に行う方法

各、部分によって清掃方法が異なります。それぞれの方法を見ていきましょう。

人工呼吸器のチューブの場合

セミクリティカルに該当するチューブの清掃の場合は、化学消毒や湿式低温殺菌法を行います。加熱による処理の「高レベル消毒」である必要があります。

高レベル消毒について説明すると、2%グルタールアルデヒドと塩素の配合の場合ですが、刺激性が非常に強いグルタールアルデヒドの使用は、呼吸器関連機器を浸漬する際は使用を禁じています。

金属に対して腐食作用がある塩素の使用は、医療機器の材質に応じて使用を禁じることがあるので注意しましょう。

また、耐熱性の器材であれば、加熱による滅菌が可能な際に使用を推奨しています。消毒薬を使用した後は、滅菌水によるすすぎ洗浄を行った方が望ましい。無理な場合の代替法として、すすぎを水道水で念入りにした後に、消毒洗浄のアルコールを使用して、空気乾燥を強制的にし、細菌が増殖しない為の湿潤環境を消滅させる事です。

※細胞芽胞を除く微生物は、すべて抹消しなければなりません。一般的な細胞芽胞による感染には抵抗性がある「無傷の粘膜」であっても、結核菌やウイルスなどの微生物に対して感染しやすくなるので要注意です。

〇清掃と消毒の手順
1.肘まである雑用手袋をし、防水性のエプロンなどを着用して、マスクとゴーグルまたはフェイスシールド・マスクを使用します。

2.専用のブラシを用意し、水道水で水洗いします。

3.内腔までよく洗うように酵素入り洗浄剤を使用します。

4.すすぎを水道水で念入りにした後に、塩素ベースの薬剤で20分ほど浸します。

5.手袋やエプロンとマスク類をはずし、流水と石鹸による手洗いをします。

6.未使用の清潔な手袋を使用して、器材を滅菌水でリンスします。

7.乾燥機で強制的に乾燥させて、終了後に手袋をはずします。

※清掃・消毒または減菌についての手順は機種によって異なることに気をつけて、取扱説明書や添付文書の記載事項によって注意深く行っていきます。

ネブライザーの清掃や消毒

ネブライザーとは、気管支喘息やクループなどの疾患に対して、霧状にした薬液を口や鼻から吸入する治療器材の事で、呼吸器の接合部に装着されています。

同じく「セミクリティカル器材」に分類されています。水のはね返りによって緑膿菌などの再汚染があるので、水回りに置く事は厳禁です。

その他の器材の場合

酸素供給に伴うリスクを回避する為の方法として、患者ごとに供給用のチューブを交換しなければなりません。正常な成人患者の場合に泡沫式加湿器を使用する時は、4リットル毎分以下の酸素流量では必要となりません。

標準仕様の非加温泡沫加湿器の使用によって10リットル毎分以上になる場合に、噴霧質によって、微生物が付着するリスクがあるので、適正な使用を行う必要があります。

まとめ

人工呼吸器は分類に適した、清掃や消毒を実施し、再汚染の危険性を排除する為の、リスク管理が求められています。消毒液などの使用も、使用する箇所の性質に合わせて、腐食や破損に対し注意をして清掃と消毒にあたる事です。

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