人工呼吸器の保守点検について

生体現象測定記録・監視用機器

人工呼吸装置を使用する医療従事者は、使用する装置の機能を理解し正しい操作法に加えて人工呼吸装置の点検にも習熟することが望まれます。起こりうる異常を防ぐため、装置の保守点検は重要です。

保守管理指針

保守点検は定期点検と、装置を使用するごとに行う「始業時」「使用中」および「終業時」の日常点検があります。人工呼吸装置は保守点検計画に沿って管理を行う必要があり、医療機器に詳しい臨床工学技士がいる施設では、当該職種による実施が望ましいですが、いない施設においては製造販売業者に委託して実施する必要があります。

始業時点検

始業時点検とは、装置を患者に取り付ける前に行う点検で、使用前に人工呼吸装置および、加温加湿器等の付属する全ての機器が安全に動作することを確認しなければなりません。また、実際に装置を使用する環境にも留意してください。

使用中点検

使用中の点検は、人工呼吸装置や加温加湿器が定めた通りに作動していること、呼吸回路に
異常がないか、手順書に沿いつつ「使用中チェックリスト」を用いて点検を行います。

また、使用中点検は、少なくとも1回の勤務時間内に1度以上実施し、異音や異臭、異常高温などが発生していないか確認します。さらに、入浴後などのイベント実施後の条件再設定時や警報作動時には、患者の状態確認と装置の点検を行い、チェックリストへ記録しなければなりません。

終業時点検

終業時点検は、人工呼吸装置本体や加温加湿器、及び付属する機器の外観点検を行い、手順書に従って不具合や破損等の有無を確認し、使用後チェックリストに沿って実施します。また、人工呼吸装置本体、加温加湿器の清掃、呼吸回路の洗浄、消毒、滅菌については、取扱説明書などに記載の製造販売業者の推奨する方法で行い、その後の使用に備えるようにしましょう。さらに装置の使用時間を確認し、定期点検を実施してください。

定期点検/h2>
(1) 定期点検では、人工呼吸装置本体及び付属品の外観を点検し、人工呼吸装置の持つ各種の性能・安全性を確認します。装置の取扱説明書などに準じ使用時間と使用期間に応じた定期点検を実施し、人工呼吸装置ごとの稼動状況や導入経過、年数、使用経過における故障や不具合に応じて計画的に行います。

(2)機能点検は、装置ごとの点検基準に従い行ってください。

(3) 定期点検で行う清掃、消耗品の交換や洗浄、キャリブレーションをはじめとする保守点検作業は、必ず記録し保管しておきましょう。

(4) 定期点検を保守点検業者や製造販売業者に委託実施した場合には、提出された定期点検実施報告書を保管しておくようにしましょう。

(5) 定期点検実施後は、必ず定期点検済みシールを人工呼吸装置の見やすい位置に貼付してください。

洗浄、消毒、滅菌

使用後の人工呼吸装置本体、加温加湿器の清掃、呼吸回路の洗浄、消毒または滅菌については、医療機関で決められた感染対策指針に従い、標準的予防策に沿って機器の清掃・消毒を行う必要があります。洗浄、消毒は、使用後ただちに行い唾液や血液等の湿性汚染物質の固着を防ぐことが必要です。

記録の保管

定期点検計画書、点検報告書、修理報告書などの記録は、機器ごとに点検報告書を作成しましょう。

保守点検の実施状況等の評価

人工呼吸装置の保守点検の実施については、定期点検において、使用頻度が多い場合は使用時間に対して適切に行われているのか評価する必要があります。

また、定期点検時や使用中、使用後点検時に破損、不具合、汚れ、機能低下等の異常があった場合には、使用状況の調査を行い、取扱い方法を説明し装置の安全な使用を啓発するなど、取扱いや操作方法等の標準化を検討してください。さらに人工呼吸器の修理、オーバーホール等の修理状況を評価し、適宜、保守点検計画を見直すことも必要です。

まとめ

人工呼吸器の保守点検の概要をご紹介してきました。正しく運用して、事故のないよう努めていきたいものです。

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