運動負荷心電図検査をする際の注意点

心臓に関する診断や治療に欠かせないのが「心電図」を使用した検査です。普段、病院で行う心電図検査は仰向けに寝てするものですが、運動した状態で心臓に一定の負荷をかけながら調べる「運動負荷心電図検査」があります。今回はこちらの検査の注意点などを見ていきたいと思います。

運動負荷心電図検査の内容

運動する前後や運動中にかかる心臓への一定の負荷によっておこる、心臓の筋肉の変化を観察し記録します。それによって、安静時には確認できなかった症状などを見つける目的があります。

普段の生活において、日中の動いている状態での胸痛や違和感、呼吸の苦しさなどの症状を意図的に誘発・再現します。その状態の心電図変化を観察し、運動している際の心臓の異常の有無を調べます。

検査方法

運動負荷心電図検査には以下の種類があります。

【マスター法】
階段昇降を行い心臓に負荷をかけます。運動した直後と数分後に再び心電図を記録し、安静時に計測しておいた心電図と比較します。

【トレッドミル法】
胸に電極を装着した状態で、速度や傾斜が変化するベルトコンベアの上を歩行します。最初はゆっくりとした軽い負荷から、徐々に負荷量を増やすために速度や傾斜をつけていきます。

【エルゴメーター法】
同じく胸に心電図の電極を付けながら、固定式の自転車でペダルをこぐ運動をします。ペダルの抵抗を調節するために、重さを変化させ運動強度を強くしていきます。運動の負荷は、
年齢にそった目標心拍数に達するまで行います。(その他、体重や症状によって負荷は異なります)

〇検査によって分かること
運動負荷によって、胸痛や動悸、息切れなどの原因診断、運動をすることで誘発される不整脈の検出、虚血性心疾患の有無や運動耐容能測定などの診断や判定に役立てることができます。

検査の注意点

検査方法によっては長時間電極を装着します。その際に、装置が外れないようにテープで固定します。肌の弱い方は、事前に技師と相談する必要があるでしょう。その他、小さい子供や高齢者、足に障害のある方などは介助をしながら検査を行います。

その際に、時々声などもかけながら患者の状態や顔色の変化なども観察します。胸部の違和感や胸痛、心電図や血圧の大きな変化や危険な不整脈の出現などがあった場合には、負荷を止める判断が遅れないように注意しましょう。

絶対禁忌

「絶対禁忌」として以下は行うことができません。

〇急性心筋梗塞
〇急性の大動脈解離
〇不安定狭心症
〇症候性又は重度の大動脈弁狭窄症
〇非代償性の心不全
〇急性の心筋炎・心膜炎・肺塞栓

など

まとめ

運動中や運動後は負荷によって、重症な不整脈や虚血性心疾患によるST変化に注意しながらモニターの監視を行います。その際に緊急を要する異常がみられた場合に、緊急処置できる体制を整えておきましょう。

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