麻酔器におけるポップオフバルブの役割についての説明

生体現象測定記録・監視用機器

麻酔器は手術が必要な患者さんに対して、痛みを無くす効果と手術における恐怖心を無くす為に必要となる医療機器です。しかし、麻酔をする事で人体への影響があるので、使用には安全確認が必要とされます。その中の1つとして、麻酔器におけるポップオフバルブの役割について説明していきましょう。

麻酔器の構造について

大きく分類すると「ガス供給部」と「呼吸回路部」で成り立っています。

【1.ガス供給部とは】
麻酔を使用する場合にガスを生成する部分となっており、その方法は酸素や窒素と空気などの分量を調整する事で、ガスを作り出しています。

【2.呼吸回路部とは】
作り出した麻酔ガスを気化器に送り出して、患者さんの口から体内へ取り込むようになっており、吸気弁を使用して調整が行われます。それから患者さんが吐き出したガスは、再利用する為に「呼吸回路部」で循環させる管理が行われます。

循環の仕組みは、患者さんが吐き出した二酸化炭素を取り込み呼吸バッグに溜めます。「カニスタ」と呼ばれる二酸化炭素を吸収する装置で循環させるために、バルブで調整します。

ポップオフバルブの役割

麻酔器を安全に使用するには、使用前に必ず動作確認のチェックをする事が、安全性や病院の管理体制の信用を確立する事にもつながります。

まずは、麻酔回路のマスク部分を取り外してから、Lコネクタの先を塞いで、ポップオフバルブと呼ばれる部分をクローズにします。

緊急時に必要になる、多量の100%酸素を瞬時に呼吸回路へ流す為の装置である「酸素フラッシュ」を実行して、膨らんだ状態の麻酔バッグに対して加圧させて様子をみます。その場合の回路圧の数値は、30cmH₂Oまで上がっている状態で、10秒間維持できる事を確認します。

圧力を調整する為の装置

ポップオフバルブの役割とは、麻酔ガスの呼吸回路内における圧力の調整を担っている装置になっています。バネやおもりによって、開弁圧を調整するタイプや孔の径を変化させて開閉を調節できるタイプが用意されています。

【1.装置を閉じる場合には】
ガスが排出されない状態になり、呼吸回路内の圧力の数値が高くなる事になります。

【2.装置を開いた場合には】
バルブを開く事で回路の外へとガスの排出が行われて、呼吸回路内の圧力は低くなります。

患者さんに使用する注意

自発呼吸をしている患者さんに対しては、ポップオフバルブを全開にして、呼吸回路内の圧力を下げる事で、自発呼吸の妨げにならないように調節する必要があります。高い状態の場合には、息を吐き出す事が難しくなってしまいます。

麻酔導入後においては、バルブを閉じ気味に調整する事で、呼吸回路内の圧力を高める状態にして、機械から直接肺に空気を送り込むようになる「陽圧換気」を実行します。

まとめ

ポップオフバルブはバッグの近くに置く事で、呼気ガスを排出したり、吸気ガスとして循環させたりする比率の調整の為に重要な役割を担っています。安全に使用するには、麻酔器を使用する前の各箇所が持つ役割を発揮できるように、動作チェックが重要な管理項目となります。

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