麻酔器回路の種類と使用テストの確認

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麻酔器において、部分再呼吸式による「半閉鎖循環式」の方法が多く使用されています。今回は、他の種類についての違いをご紹介しましょう。また、麻酔器回路を使用する場合に確認すべき使用テストについての確認や、実際の装着の注意点にも着目していきましょう。

麻酔器回路の種類

麻酔器回路に接続を行う人工呼吸の回路の方式は、現在3つの種類に分類されています。

【1.再呼吸式による閉鎖循環式】
閉鎖循環式回路の場合、患者さんが吐き出す呼気中の酸素や二酸化炭素と麻酔ガスのうちから二酸化炭素を取り除く事で、使用された酸素と麻酔ガスをリサイクルできる方式です。

【2.非再呼吸式タイプの開放式】
開放式回路の場合は、患者さんが吐き出す呼気の中の酸素や二酸化炭素と、麻酔ガスの全てを放出して再利用をしないタイプです。

【3.部分再呼吸式による半閉鎖循環式】
現在使用するタイプの大半を占めており、閉鎖循環式回路と開放式回路の中間的な方法を取り入れたタイプです。

二酸化炭素を取り除く事で、使用された酸素と麻酔ガスをリサイクルできるのは同じですが、常時ある程度の酸素と麻酔ガスの分量を保って供給しています。そして、必要ない程度の分量を放出するようにバランスを保っています。

麻酔回路の使用前確認

リークテストとは、回路の状態やガスの漏れがないか確認する作業です。これは、酸素ガスを流し加圧の状態を作り出す事で確認をしています。

【1.一般的な確認方】
呼吸回路の先端にある「Y ピース」の部分を閉じて「APL弁」も閉じます。酸素の量を 5 ~10L分ほど流す事で、呼吸バッグを30cmH₂Oの圧まで膨らませます。次に、呼吸バッグを押して回路内圧を 40 ~ 50cmH₂O までの状態にします。

大きな漏れがある状態では圧を維持する事が難しいので、不具合がある時には接合できなくなり、接合不備を発見できる事になります。呼吸バッグから手を離して、圧を 30cmH₂O に戻した状態にします。次に酸素を止めてから、ガス供給のない状態で30秒間維持した場合に、5cmH₂O 以内の低下で収まる事を確認します。

【2.低圧回路系の確認方】
APL弁を閉じたままで、酸素の分量を 100 ml/分 ほど流します。呼吸バッグを外した時に、そことの接続口と Y ピースを両手で閉じる場合と、あるいは別の蛇管等で接続する方法を行います。その時の回路内圧が、30cmH₂O以上になる事を確認します。

圧力が上昇しないように、酸素の量を0に戻しておきます。ニードル弁からの漏れが呼吸回路全体において、30cmH₂Oの圧にした状態までは 100ml/分以下である事の確認を行います。低流量計がある場合は、麻酔器の最少流量でテストを行う事を基本とします。

気化器内もしくはその周辺のリークを確認する方法は、それぞれの気化器をオンにする事で漏れの確認を行います。フローメーターと共通ガス流出口との間の漏れを確認する場合には、チェックバルブ(一方弁)があるタイプもあるので、陰圧テストが必要になってきます。

【3.二酸化炭素吸収装置】
リークの起こる可能性が一番大きいので注意して行い、不完全な密閉の原因には、ネジのゆるみやパッキングの紛失、破損する場合や吸収剤の粒がはさまる可能性があります。

麻酔回路の接続ポイント

気管挿管したら麻酔回路に接続し、バッグでの換気の確認を必要とします。

1.気管チューブの内腔を見て呼気で曇る状態。
2.呼気における二酸化炭素の流量をチェックします。
3.人工呼吸器を始動させた場合の再度呼気の二酸化炭素をチェックします。
4.麻酔回路内圧の数値が異常の有無。
5.以上の確認がすむまでは次のステップに進まない事。
6.気道内圧が25mmHg以上の場合は、要チェックなので医師に報告します。

まとめ

麻酔器回路はデリケートな素材です。常に使用前の確認がなければ、安全に使用できる体制が整わないので、重要チェック項目として管理と保全に努める必要があります。異常などの気になる部分については、必ず医師の確認を促しましょう。

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