脳波計の仕組みから判別できる波形の働き

生体現象測定記録・監視用機器

人間の脳はいまだに未使用の部分があると言われており、神秘的な部分が多く、研究者が解明に挑んでいます。脳が発する電気信号によって、命令系統などの指示が出されていると言われています。脳波を測定できる脳波計の仕組みは、どのようになっているのか見ていきましょう。

脳波とは

神経細胞の中は細胞体や細胞質と軸策によって構成されており、独立した細胞の伝達機能としては、細胞と細胞がシナプスによる接触構造によって、神経情報を出力する側と入力される側のつなぎを行なっている事で伝わるのです。ここには140億個もの神経細胞であるニューロンが存在しています。

その伝達となるのが脳における電気信号であり、情報をやりとりする神経細胞のネットワークによって成り立っています。この神経細胞が発する電気信号の事を活動電位としています。

【1.活動電位】
脳波は皿電極を頭皮上に装着する事で、頭皮や頭骨を介して電気信号の活動を微弱ながら測定する事ができます。電極の検出対象範囲には神経細胞が数百万個以上集まっており、膨大な数の神経細胞で活動電位を検出しているわけです。小さな電位変動なので、脳波計の仕組みによって増幅させる事で目に見るように開発されています。

【2.電極の装着】
国際脳波学会の推奨する「10/20法」による装着法が行なわれ、19個の装着位置が決められています。検査や研究の目的に合わせて、電極の数が決まる場合も実用的にあります。

【3.脳波の種類】
基本は4種類とされていましたが、現在は研究によりデルタ波やシータ波、アルファ波やベータ波そしてガンマ波の5種類に分類されています。

【4.脳波の測定データ】
従来は医療用の脳波測定器を使用するのですが、実際の研究の現場では、機器の操作が難しい事やデータ解析に専門的な知識や経験が必要な事、被験者の拘束時間や負担がある事で、多くの問題点が起こりました。

そこで、簡易型の脳波測定器が使用されるケースが多くなりました。操作が簡便で測定時の被験者へのストレスが少ない機器を使用することで、大量のデータを収集する事も容易になります。

【5.脳波計は電圧計である】
脳の活動している部分が重要な情報になるので、多数の電極をセンサーとして頭皮の表面や脳に直接配置する場合もあります。脳内の電圧を計測する働きです。「基礎律動」と呼ばれる脳波の活動においては、高まる場合や低下する場合を表すのがそれぞれの波形です。

脳波計でわかる事

大きく分ける場合には、頭が使う状態であるか否かにわかれます。

頭を使っている状態ではベータ波が出現し、使っていない状態にはアルファ波が出現します。そして、脳の弛緩した状態ではシータ波の波形が増えてきます。頭を使っている状態とは、何らかのストレスを受けている事になり緊張や興奮や思考などを表しています。

頭を使っていない状態では覚醒度の低下している事を表しており、リラックスしている状態にもあります。覚醒度を一定に保った状態での計測は、リラックス状態とストレス状態の対比が簡単に判別できるようになります。

脳波の診断

病院での測定は、主にてんかんの診断や脳死判定などに利用されています。その為の解読には、専門的な波形の判読が必要になってきます。アルファ波が多く出れば良い状態とは言い切れず、車の運転中にアルファ波が出ていると、リラックス以外にも眠くなる状態の場合もあり、大変危険な状況にあると言えます。

このような場合には「アルファ波が脳をリラックスさせる」と解釈するよりも「リラックスしているからアルファ波が出る」と解釈します。

まとめ

脳波計の仕組みは脳の構造から始まり、神経細胞の伝達作業に通じています。電位差に起こる脳波を波形の判別で示す為の理解を求める事により、てんかんや脳死判定の診断で判断をあおぐ事が可能になります。また特殊な脳波の測定でも、脳波のいろいろな働きを知る事に役立ちます。

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