脳波計を含む、脳検査装置の種類について

生体現象測定記録・監視用機器

人間が生きていくうえで不可欠な体内器官の1つ、脳。その状態を医療的に調べる際、どのような方法が挙げられるのでしょうか。今回は、脳波計をはじめ医療現場にて使われる脳の検査装置をいくつか紹介していきます。

脳波について

脳に関する検査でメインに位置付けられているのは脳波検査と言えるでしょう。ここで脳波について確認しておきたいと思います。

私達の脳の中には、1000億~2000億個という膨大な数の脳細胞があると言われています。脳の活動に伴って、それら脳細胞間では電気的反応が生じます。それを電位差として検知し量的変化を時間経過に沿って記録していくと、波形の信号となって表されます。その波形が脳波です。

脳波の発生について

脳活動と連動する電気的反応についてもう少し掘り下げて見ていきましょう。

神経細胞(ニューロン)は、樹状突起・細胞体・軸索から出来ていて、樹状突起から他の細胞の信号を受け取ります。その信号のバランスと閾値がニューロンの活動状態をきめていて、発火(ニューロン内の閾値を超えた状態)という状態になると、インパルス状の活動電位が生成されていきます。その後再び、信号がシナプスからニューロンへと伝わっていきます。この様に、神経細胞間の信号伝達により、脳波の基となる活動電位が発生するわけです。

脳波の歴史について

脳波は1875年に、猿とウサギと犬などの動物の脳から初めてイギリスのケイトンが発見しました。人の脳波が測定出来る様になったのは、1920年のことでした。その10年後には、脳波計を使用した記録が残されている様です。

脳検査装置について

現代では、脳波以外にも様々なアプローチで脳の状態を観測する手法が確立されてきました。それらは脳波計を含めておおむね5つの種類が挙げられます。それぞれどのようなものなのか、見ていきたいと思います。

fMRI

1つ目は、「fMRI(磁気共鳴機能画像法)」です。これは、脳内の血液量についてMRIを使用して観測し、脳の活動変化を観察するものです。頭に電磁波をあてて、脳の断面の画像を撮影するという仕組みになっています。

NIRS

2つ目は、「NIRS(近赤外線分光法)」です。これは、光源・受光センサーを頭部にあてて、脳の活動変化を診察するものです。脳と筋肉のヘモグロビンを測定することで、血流の変化を調べることが出来ます。そして、身体の疲労感を観察することも出来ます。

侵襲式

3つ目は、「BMI(侵襲式)」です。これは、脳内に端子を埋め込むことにより、電気信号を直接取り込むという仕組みです。侵襲式は、人工内耳・人工網膜・パーキンソンの緩和などに役立てられています。しかし、直接端子を埋め込むことにより感染症のリスクがあるため、「非侵襲式」という方法が研究されています。

MEG

4つ目は、「MEG(脳磁計)」です。これは、脳波用の端子を頭や顔に着け、測定器(ヘルメット)の中に頭を入れて測定します。脳が活動している状態の時に発生している小さな電気や磁気を測定する検査です。

EEG

5つ目は、「EEG(脳波計)」です。脳に関する医療検査の代表格に当たる脳波検査で用いられる機器となります。

これは、脳から発生している小さな電気を、頭皮に装着した端子から直接測定する検査です。大脳の活動状態を診察することが出来るので、脳死を判定する際にも使用されます。CTやMRIでは得ることが難しい脳の状態を測定することが可能です。

神経疾患であるてんかんや睡眠障害、痙攣発作などの検査に使用されています。また、脳波は様々な周波数があり、心の状態も診察することが可能だと言われています。

まとめ

脳波は古くから世界中で研究されてきたもので、当初は「ノイズ」だと言われていました。今回は、脳波の歴史やどの様に発生しているのかを確認し、脳波以外の原理も用いられている現代の医療現場で使用されている脳検査装置について5タイプ紹介いたしました。

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