モニター心電図の波形を正しく表出させるための装着方法

生体現象測定記録・監視用機器

さまざまな病気の診断に役立つ心電図。
正確に検査を行うには電極の装着方法が最も重要です。
心電図は電極の装着位置が少しずれるだけでも波形が変わってしまい、また電極の装着手順によっては波形にノイズが入ってしまい、正確な診断ができません。
臨床において心電図の装着は看護師や検査技師などのコメディカルスタッフが行うことも多く、また機器の販売(リース)業者がコメディカルスタッフ向けに指導研修を行うことも頻繁に行われています。
そのため、心電図の装着方法は医師だけが知っておけば良いわけではありません。
心電図を扱う全ての人は装着方法について知っておく必要があるのです。

○心電図の装着手順を解説
①電極と電極リード線を接続して電源を入れます。
四肢電極はリードチップの色とクリップの色を間違えないようにしましょう。
次に電極シールが乾いていないかチェックします。
新品のディスポ電極を使用する場合は、事前に生理食塩水につけておくなどのエージング処理をしておくと、より接触抵抗が少なくなります。
→酒井らは電極エージング処理方法のインビーダンス低減に与える影響についての研究を行っています。資料(pdf)はこちらから確認できます。

②電極を装着する患者様側の処置を行います。
皮膚に汚れや角質があると波形にノイズが混じってしまう原因となります。
一般的には皮膚をアルコール綿で清拭しますが、場合によっては専用のペーストを塗り込んだり、医療用のやすりで角質を削ることもあります。

③電極を装着していきます。今回は患者様の状態を病室やナースステーションでモニタリングできる「モニター心電図」の電極の装着方法を解説していきます。
モニター心電図では以下の位置に電極を貼り付けます。
赤…右鎖骨下
黄…左鎖骨下【アース】
緑…左側腹部
3点誘導法(Ⅱ誘導)では赤と緑の電極間の電位を測定していきます。黄はアースになります。

○その他の誘導法
上記の誘導が一般的ですが、患者様の疾患によってさまざまなモニター心電図の誘導法があります。

●MCL5誘導
赤…左鎖骨下(胸骨付近)
黄…右鎖骨下【アース】
緑…左側腹部(V5)
ST波、T波が強調されるため、狭心症に特徴的なST上昇と異常T波の観察に適した誘導法です。

●NASA誘導
赤…胸骨上縁
黄…左鎖骨下【アース】
緑…剣状突起
波形に筋電図が入りにくいため、P波の観察に適した誘導法です。

●MCL1誘導
赤…左鎖骨下
黄…右鎖骨下【アース】
緑…右胸部(V1)
P波が強調される誘導法です。

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