血圧計の構造と仕組み

生体現象測定記録・監視用機器

以前は医療従事者が水銀血圧計を使い上腕にカフを巻き膨らませて、聴診器を当て血圧を測定していました。現在は多種多様な血圧計があり手首式や電子的に測定する電子血圧計などが登場して一般家庭にも普及しています。今回は血圧計の仕組みや方式について解説します。

血圧測定法

血圧測定には大きく分けて、音を聞いて判断する聴診法(コロトコフ法)とオシロメトリック法の2つに分けられます。水銀血圧計やアネロイド血圧計にはコロトコフ法、現在主に使用されている電子血圧計にはオシロメトリック法が、それぞれ使われています。

水銀血圧計

以前一般的の病院など医療機関で利用されるタイプの血圧計と言えるでしょう。水銀の比重は水1に対して13.534と非常に重い性質を血圧計に応用しているわけです。水銀計は割れた際に有害な水銀が漏出し、危険な面を併せ持ちます。

使用および管理に関して充分注意を払わなければなりません。現在では製造、輸入が禁止されて電子血圧計が普及してきています。

アネロイド血圧計

アネロイド血圧計とは水銀を使用しない血圧計の事で、測りの中にはバネ式などがあります。水銀計と違い、年月が経過するとバネが伸びるなど劣化が現れる事から、定期的なメンテナンスや新品への買い換えなど管理が必要です。

コロトコフ法

カフ(圧迫するもの)を上腕部に巻き、圧迫する事によって動脈を閉塞させます。その後減圧していくと動脈が開いて血流が増えてきます。その時に血管から音が聞こえ始めます。この音をコロトコフ音と呼び、この音が聞こえ始めた時に血圧計で示されている圧力値が最高血圧、カフの減圧を続け音が消えた時に示される値が最低血圧となります。

手動によるコロトコフ法では、測定者の熟練度によって正確性にブレが生じやすいのが難点です。そのネックを解消したのが電子血圧計と言えます。
最近では電子血圧計が多く普及していますが、初期型の電子血圧計では手動式の血圧計と同様この方式が用いられていました。

※カフの事をマンシェットとも呼びますが袖口という意味で、カフ=英語、マンシェット=フランス語で同じものです。

オシロメトリック法の登場

初期の電子血圧計は、内蔵されたマイクロフォンにより電子的にコロトコフ法(聴診法)を行う仕組みとなっていました。しかし1980年半ばからオシロメトリック法が確立され、以降それに置き換わる事になります。

オシロメトリック法は脈波(心拍に合わせて血管が脈動する波)の検知から血圧を導き出す方法です。カフ自体が脈動センサーとして機能し、それによって脈波の変化が測定されます。
このタイプの電子血圧計は、構造もシンプルで故障が少ないというメリットを持ちます。

マイクロフォン使用型電子血圧計には、雑音や、装着位置によって音が拾いづらい、あるいは測定誤差が大きいなどの欠点が見られました。しかオシロメトリック法を用いたタイプの登場により、電子血圧計における問題点が大きく改善される事になったわけです。
現在では、このオシロメトリック法が電子血圧計における原理の主流となっています。

まとめ

最近の電子血圧計は血圧と一緒に体重、体温、脈拍、酸素飽和度など測れる電子血圧計も出てきています。中には時計型(スマートウォッチなど)もあります。仕組みをよく理解し毎日同じ時間に正確な測定をする事が健康管理に役立ちます。

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