心電図検査に用いる機器の消毒について

生体現象測定記録・監視用機器

心臓の動きに伴って生じる電気反応を読み取り、そこから心臓の状態を判別する心電図検査。これを実施する際には心電計が用いられます。感染症などのリスクを避け、機器を安全に使用するには適切な消毒措置が必要ですが、心電計に関してどのように行うべきなのでしょうか。

心電図の概要

生命維持に欠かせない血液を全身に循環させる働きを意味する血流。それは心臓の拍動によってもたらされます。心臓が適切に機能することは、生命活動に直結する重要事項と言えるわけです。

心臓の状態を調べる手段として広く実施されている検査が心電図です。心臓の動作に連動して発生する電気反応を電位差として検知し、その時間変化をグラフ上に表すことで、心電図波形が描画されます。その波形の型を識別することにより、心臓に何らかの異常あるいは病患が無いか判断されるわけです。

心電図検査においてメインとなる機器が心電計です。主に、被験者の身体に取り付けられる電極、検出データを解析する本体、その両者を繋ぐコードから構成されています。

電極から心臓の動作に関連する電気反応の電位差を検知し、そのデータが本体に送られ、解析を経て心電図として表されるという流れとなります。

一般的な心電図検査は、心臓について12の視点から観測する12誘導心電図という方法が取られます。それに則って、患者さんの両手足首4箇所・左側胸部6箇所に計10個の電極を装着し、検査が実施されることとなります。

心電計の消毒

医療機器は、何らかの疾病を患っておられる方に使用されるケースが多々あります。中には、感染性を持つ疾患を持つ患者さんもおられることでしょう。感染リスクを回避するためには、充分な消毒措置が必要です。これはあらゆる医療機器に共通するものであり、心電計も例外ではありません。

前項も見た通り、心電計は大きく分けて電極・コード・本体という3つのパーツから成り立っているタイプが一般的です。各部についてそれぞれ、消毒を行うこととなります。

本体およびコード部分を消毒する際、スプレーなどによる装置への消毒液噴霧は適切な方法とは言えません。隙間から機器内部に薬液が入り込み、電子回路部を腐食させてしまう怖れがあるためです。そういった事態を防ぐため、消毒液を染み込ませた布類による清拭が一般的な方法とされています。

電極部の消毒については、被験者の身体に接触する部分となるため、より入念な措置が必要となります。

消毒に入る前に、洗剤・ぬるま湯・ブラシもしくはガーゼを用い、洗浄を行います。検査にて電極を被験者に取り付ける際、皮膚との接触性を高めるためペーストなどが塗布されます。それを洗い落とす必要があるわけです。

その後、消毒液を含んだ布類による清拭にて消毒を行います。

洗浄時の洗剤および消毒液については、装置説明書あるいはメーカーからの指示に準じた成分の薬剤を使用しなければなりません。

心電計は、機種あるいはパーツの違いによって、その材質が異なります。材質によっては薬液と物質的に反応して劣化し、故障に繋がる怖れが生じることでしょう。そういった事態を避けるべく、使用する洗剤ならびに消毒液は、装置の材質に適したタイプを用いる必要があるわけです。

まとめ

以上、心電図検査についての基本的要素を踏まえながら、心電計の消毒方法について確認してまいりました。感染症に罹患している患者さんに対して検査を行う場合には、感染予防対策のガイドラインに従い適切に消毒措置を取ることが必要です。

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