心電図で発見できるストレスが原因の疾患

生体現象測定記録・監視用機器

各医療機関に広く普及している生体現象測定記録である心電図。この心電図を用いた検査を行う事で、患者の身体に負担を掛けることなく、心臓の様子を知ることが出来ます。しかしその心電図にも、見つけることが出来る疾患と見つけられない疾患があります。今回は、心電図で発見する事が出来る、ストレスが原因の疾患について解説します。

心電図検査の発明は100年以上も前

心電図検査は、今から100年以上も前のオランダで発明されました。心臓が拍動する事で全身へと血液を送り出していますが、その拍動をする際に微量の電流を発します。この電流を検知して12種類の波形で表すのが、現在世界で行われている12誘導心電図という物です。

12の方向から電流を観察するため、波形の数も12となっていることからこの名前で呼ばれています。心電図検査自体は100年以上も前からある検査方法ですが、現在でも行われているのは、痛み・放射線の被ばくが無く、検査にかかる時間も短時間で済むため、患者さんの負担が小さくて済むことが主な理由です。

心電図検査でも発見できない疾患がある

心電図検査では、心臓の拍動が乱れる不整脈や、心臓が発する電気に乱れが生じる心筋梗塞を発見することが出来ます。しかし、心臓から発せられる電気に異常の見られない弁膜症など、心臓内部の異常を発見する事は出来ません。

また、狭心症や不整脈と言った疾患は、発作が起きている状態以外は心電図検査でわかる波形には異常が現われない為、心電図検査時に異常が認められなかったから必ずしも安心とは言い切れないのです。

心電図で発見出来る心疾患

”たこつぼ心筋症”という心疾患があります。たこつぼ心筋症とは、あまり聞きなれない言葉かもしれませんが、強い精神的ストレスが原因で発症する事のある心臓の疾患の一つです。日本人医師が発見し、命名したため、海外でも”takotsubo”という名称が使われています。

心臓は、右心室、左心室、右心房、左心房の4つの部分に分かれています。その内の一つである左心室は、例えるならラグビーのボールを中央で切った様な形状をしています。この左心室が毎分70回も収縮する事で、血液を心臓から全身へ送り出しています。

心臓が正常な状態なら、この左心室は全体が収縮して小さくなったり、大きくなったりを繰り返しますが、たこつぼ心筋症を患うと、左心室の先端部分の筋肉は動かなくなります。この先端が膨らんだままで、根本がすぼんでいる形状がたこつぼを連想させるため、この名前がついています。

たこつぼ心筋症になると、左心室先端の収縮しなくなった部分で血液が淀み、その血が固まってしまいます。この血の塊が血管を通って脳へ移動すると、脳梗塞を引き起こすリスクがあります。

たこつぼ心筋症については、精神的ストレスが発生の引き金となる事は判っていますが、左心室の先端部分だけが動かなくなる理由については詳しい事はわかっていません。

まとめ

今回は、心電図で発見できるストレスが原因の疾患である”たこつぼ心筋症”についてお伝えしました。心電図は患者の身体に負担を掛けずに心臓の様子を知ることのできる優れた機器です。しかし、発見することが出来ない疾患もあるという事をしっかり理解して正しく使用しましょう。

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