脳波計における判読の標準とは? 感度などの較正確認も

生体現象測定記録・監視用機器

脳波検査が臨床において活用されて長い年月が経ちますが、脳波検査が診断や治療に役立つためには日本ならびに世界において共通する検査基準を設けておかなくてはなりません。
基準が確立されれば機器や検査を行う医療機関が異なっていても脳波の判読精度の向上や研究分野においてもさらなる革新に繋がるでしょう。
今回は日本臨床神経生理学会 臨床脳波検査基準改訂委員会の資料(pdfファイル)を基に脳波計を適切に判読するための基準を紹介していきます。

○脳波検査を行うための手順
脳波検査を行うにあたり、以下の手順で脳波計の較正(calibration)を行います。
①紙送りスピード(記録速度)の設定
②基線
③ペンの配置
④ペンの圧力
⑤低域遮断フィルター
⑥高域遮断フィルター
⑦感度
⑧記録時間
⑨記録中の状態
では、各項目の詳細をみていきましょう。

①紙送りスピード(記録速度)の設定
標準的な記録速度は 30mm/sec、睡眠ポリグラフ検査では15mm/secとされていますが、いくつかの速度を選択できる脳波計を使用することが望ましいでしょう。

②基線
基線の振れがないか確認をします。

③ペンの配置
ペンの幅が等間隔に配置されており、ペンの開始位置がすべて揃っているか確認をします。

④ペンの圧力
ペンの圧力が適切であるか確認をします。記録中にペンが跳ねてしまうようであれば圧力が低く、ペン先が丸くなるようであれば圧力が高すぎる可能性があります。

⑤低域遮断フィルター
低域遮断周波数は通常0.5Hz(-3dB)、時定数を一般的に使用します。症例によっては1.5Hzを選択する場合もあります。

⑥高域遮断フィルター
高域遮断フィルターは使用しない記録が一般的です。使用する場合には60または30Hzの記載をします。

⑦感度
感度の振幅は50µV/5 mmが一般的です。この記録感度を基準にして必要に応じて1/5倍、1/2倍、2倍、5倍のステップで増減していきます。なお、脳死判定の場合は基準値よりも4倍以上に感度を上げます。

⑧記録時間
標準的な記録時間はモンタージュごとに最低でも2分間の連続記録を行い,検査全体では30分以上の時間が必要となります。睡眠中の記録を行う場合では睡眠段階に応じた記録時間が必要となります。

⑨記録中の状態
脳波の記録中には体動や開閉眼、刺激に対する反応、使用したモンタージュや感度などの設定の変更、てんかん発作などの発作症状などをイベントマークやコメントコードを用いて記録していきます。

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