脳波計! 最大の感度?

生体現象測定記録・監視用機器

脳は、人体の中で最大の細胞数の臓器です。その臓器の状態を調べる測定器が脳波計です。この機器には、最大感度と呼ばれている調整があり、その測定する際の感度には、規定があります。今回脳波計の最大感度について解説していきます。

脳波計感度?

人間の脳は、約1000億個の神経細胞から成っています。各々の神経細胞の大きさは、0.1mm~0.005mm程あり、三つの部分から構成されています。細胞同士は、軸索と樹状突起でつながっており、情報伝達を行っています。

この情報伝達の媒体になっているのが、活動電位と呼ばれている電気信号です。電気信号には、電位差に周期性があり、これが脳波の実態です。脳波を観察することで、脳機能の変化を客観的に捉えることができます。

測定するには、脳波計を用います。頭部の十数個の電極をつけ、活動電位を縦軸に電位差・横軸に時間という形でグラフに、波形として表したものが脳波です。

脳波計には感度設定というものがあります。通常は0.5Hzから30Hz程の周波数で、波形においては50μV位で記録されます。脳波計が脳から発する脳波を検知できるようにするために感度を変更したり設定したりします。

標準感度

この医療機器の感度とは、記録する振幅の大きさなどを感知する電流の大きさを言います。この感度は記録感度のことで、一般的な記録感度は、10μV/mmが標準であるとされています。

感度の変更や設定をするときは、5μV以下でなければならない規定があり、その際注意が要され以下の2点が挙げられます。
①100μVの入力に対し感度を調節して表示波形の振幅が約10mmになるように設定すること。
②100μVの入力に振幅が10mmになるようにすること。

最大感度

脳波計には厚労大臣の指定する最大感度というものがあり、2.5μV/mm以上を備えている必要があると定められています。更に、測定のときの感度は±10%以内であることが条件です。

最大に設定後、試験用方形波電圧回路を使用して、電極を介して25μVの電圧を加えたときの振幅を記録し測定します。

脳波測定の種類

現在、主に脳波測定装置には、次の5種類が挙げられます。
①脳波計
②近赤外線分光法
③磁気共鳴機能画像法
④侵襲式
⑤脳磁計

〇それぞれの測定方法
①は、脳からの電気活動を頭皮においた電極から直接測定します。
②は、光源と受光センサーを使用して脳の血液量の変化を観測します。
③は、脳の血液量の変化をMRI観測します。
④は、体内に端子を埋め込んで直接電気信号を取る方法です。
⑤は、磁気センサーの一種である超伝導量子干渉計を使い、脳の電気信号を磁気として捉えます。

〇特徴
それぞれの測定法には、空間分解能や時間分解能の高低がみられ、運用性に限定的な制約をもっています。

まとめ

脳の状態を神経細胞から生じている電位差を波形として捉えて、グラフ化する脳波計の標準感度や最大感度といった基準と特徴について解説しました。脳波計で正確な検査を行うには、感度以外にも時定数・高域特性も重要な項目ですので、JIS規格の性能試験項目に従って定期的な点検を行うようにしましょう。

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