脳波計で検知される脳波の基礎的原理

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脳は物事を考えたり、身体の動きに指示を与えたりする臓器であり、人間には欠かせないものです。その診察に該当する検査では、脳波計が用いられます。その際に観測される脳波とはどのようなものなのか、原理的な部分の基礎について見ていきたいと思います。

脳波について

人間にとって不可欠な臓器である脳は、およそ1000億個にも上る神経細胞の集まりと言えます。それら神経細胞は樹状突起や軸索などで繋がれ、ある種のネットワークを形成しています。その中を電気的信号が行き来することによって、脳活動が成立しているというわけです。このような、脳内に発生する電気的反応が脳波として扱われ、検査における観察対象とされています。

脳波検査の基礎

脳の神経細胞間に生じる電気信号を検知するべく、一般的な脳波検査では10/20法という測定手法を用います。これは被験者の頭部所定位置に21個の電極が配置し、それら電極から得られるデータの組み合わせによって、脳内の特定区間における電気的反応を判別していくという方法となります。

そうして得られたデータは、縦方向に電気信号の1要素である電位差・横方向に時間経過を取ったグラフ上に書き表されます。その際にデータは波形となって描写され、それが脳波に相当するわけです。

脳波の種類

脳波には幾つかの種類があり、その現れ具合により検査の診断が行われます。それらは主に、周波数範囲によって区別がなされます。波形図における波は、山1つ谷1つを1組と見做して波1つとして数えられます。周波数(単位:Hz)はその考え方に則り、一秒間における波の数を意味する指標です。

脳波における種類について、周波数が低い順に挙げていくと、以下のようになります。

▽δ波:周波数の範囲は0.5~4Hz未満です。正常な脳では深い眠りであるノンレム睡眠時に現れます。

▽θ波:周波数範囲は1~8Hz未満。一般的に浅い眠りの状態で現れ、眠気が生じている時やウトウトしている状態などにも見られます。

▽α波:8~13Hz未満の周波数となります。覚醒時すなわち目が覚めている時のリラックスしている状態で現れます。脳波検査においては標準的な状態と見做されており、これより周波数が低くなる場合には徐波、高くなる場合には速波と区分けされることとなります。

▽β波:13Hz以上の周波数範囲を取ります。覚醒時における興奮状態で顕著に現れます。α波と一緒に現れ振幅幅が小さい特徴が見られます。

▽γ波:26~70Hzほどの周波数範囲が該当します。脳波検査では周波数の高いβ波に該当すると見做され、現在ではとくに単独の診断材料として扱われていません。

これら周波数で判別されるタイプ以外にも、波形の尖鋭さで比較される種類の脳波も存在します。棘波と鋭波がそれに相当し、便宜上波の山部分の幅すなわち時間軸方向の幅で識別されます。

時間をミリ秒(ms)で表した場合、棘波においては20~70ms、鋭波においては70~200msがそれぞれの範囲です。

上記のような波形が検査中どのように現れるのか、年齢などの特徴や検査中の状態に照らし合わせ正常な波形との差異を比較することによって、診断が行われることとなります。

まとめ

以上のように、脳の電気信号を波形に表し判別を行うという脳波検査の基礎的原理を踏まえながら、検査対象となる波形の種類について確認してまいりました。基本的部分のおさらいとなりますが、参考になれば幸いです。

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