人工呼吸器装着時における鎮静管理とは?

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人工呼吸器を装着するということは「陽圧換気」という生理的ではない環境に置かれ、さらに挿管による苦痛や違和感、発話ができない、定期的な喀痰吸引などにより患者様は大きなストレス状態となってしまいます。
以前までは患者様が苦痛を感じないように鎮静剤を投与して鎮静下におくことが常識とされている時代もありました。


しかし、鎮静下におくことでせん妄や人工呼吸器関連肺炎(VAP)といった二次的な合併症を引き起こす可能性があり、人工呼吸器装着時における鎮静は最小限に留めることが望ましいという考え方が常識となっています。
ただし、まったく鎮静管理をしないというわけではなく、患者様の状態やリスクを考慮した上での適切な鎮静管理は必要です。
特に鎮痛剤で用いられる医療用麻薬は「身体に悪い影響を与えるから使用しない方がよい」というイメージをもっている人は今でも少なくありません。
必要以上の鎮静管理は患者様にとって悪影響を与えてしまいますが、患者様のQOL(Quality Of Life)を維持する上で必要な場合もあるのです。

○まずは鎮痛対策を考える
人工呼吸器装着時における鎮静管理はまず「疼痛への対策」を考えます。
適切な疼痛管理によって鎮静剤投与の必要なく過ごすことが可能となり、さまざまな合併症のリスクを最小限に抑えることができます。
疼痛への対策はまず非薬物療法ですが、鎮痛剤の投与が必要であれば麻薬性オピオイドが第一選択肢となります。
麻薬性オピオイドの副作用とし「呼吸の抑制」がありますが、人工呼吸器の装着時には問題となることが少ないため、疼痛の程度に合わせて投与量を調節することが適切と言えます。
その他にモルヒネやフェンタニルが臨床においてよく使用されています。

○必要に応じて鎮静管理を行う
鎮痛対策を行っても効果が得られなければ必要最小限の鎮静管理を行います。
効果が得られない鎮静管理であれば意味のない薬剤投与になってしまいますが、逆に深い鎮静では合併症のリスクが高くなってしまいます。
目安としては刺激により容易に覚醒し、刺激を与えなければ入眠する程度がよいとされています。
このような鎮静管理の度合いを「鎮静深度」といい、目標とする鎮静深度を決めておきます。
目標とする鎮静深度を判定するために「鎮静深度スケール」の使用は欠かすことはできません。
以前まではRamsay sedation scale(RSS)がよく用いられていましたが、近年ではRichmond Agitation Sedation Scale(RASS)またはSedation Agitation Scale(SAS)がよく用いられています。

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