心電図の波形の名称とそれが表す意味について

生体現象測定記録・監視用機器

心臓は収縮と拡張の繰り返しで生命の維持をしています。
それを細胞単位で見た場合、「脱分極」した活動電位と「分極」した静止電位の繰り返しと言えます。
これは心筋細胞が静止状態(分極した状態)から心筋細胞が活動状態(脱分極化した状態)へ、また活動状態から静止状態への繰り返しということが言えます。
この電気活動を体表から記録したものが心電図ということになるのです。
今回心電図の波形の名称とその説明をしていきたいと思います。

【P波】

心房の脱分極の総和と言えます。言い換えるなら心房の収縮を図にしたものと言えます。
高さは大きくても、方眼紙で2.5コマほどです。
低い場合には個人差で説明がつきますが、これが高すぎる場合には何らかの異常を示している場合があります。
また、この波形の幅は心房筋の脱分極開始から終了までの時間を表していて幅が広い場合には異常値と言えます。

【QRS波】

心室の脱分極の総和を表しています。
この波形の幅はすべての心室筋が脱分極を完了するまでの時間を表しています。
この時間は正常だと0.1秒、方眼紙では2.5コマになります。

【T波】

心室の再分極を表した波形です。
QRS波との接合部分をST接合部と呼び、ST接合部からT波の始まりまでをST部分と言います。

【U波】

T波の後、P波の前にある小さく緩やかな波です。心室起源の波ということは分かっていますが、正常時には見られないことも多くそのメカニズムははっきりしていません。

【その他の部分の名称】

1.PP間隔
P波の開始から次のP波の開始までの間隔をPP間隔と言います。
心房の興奮開始から次の心房興奮開始までの時間のことを指しています。

2.PQ間隔
P波の開始からQRS波の開始までの時間をPQ間隔と言います。
心房の興奮開始から心室の興奮開始までの時間のことで、心房・心室間の伝導能力を反映しています。理論上PQ間隔が一定であれば、RR間隔(後述する)とPP間隔は一定になります。

3.RR間隔
QRS波の頂点であるR部分から次のQRS波のR部分までの間隔のことを言います。
言い換えれば心室興奮開始から次の心室興奮開始までの時間のことを言います。
心室が一分間に収縮する回数である「心拍数」もこのRR間隔が分かれば算出することができます。

4.QT時間
QRS波の始まりからT波の終了までの時間で心室の再分極終了までの時間を表しています。

【まとめ】

心電図には様々な波形があり、またその一つ一つがそれぞれ心臓の電気活動のどんな意味を表しているかがお分かりいただけたでしょうか。波形の名称、意味をしっかり把握して参考にしていただければと思います。

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