心臓の電気活動を読み取る心電図の仕組み

生体現象測定記録・監視用機器

【はじめに】
学校や職場での健康診断や、心臓の検査などでも多く用いられる心電図。
心臓の電気活動を読み取って確認することで、心臓疾患の発見に役立てられています。
大多数の人が受けたことのある心電図は、どのような仕組みになっているのでしょうか。

【心電図の仕組み】

・心臓と電気
心電図の仕組みを見ていく前に、心臓と電気の関係をおさらいしておきたいと思います。
心臓の規則的な拍動は、電気信号を伝えて心筋を収縮させる回路によって保たれています。この電気刺激を作り出す中心部分は、洞結節と呼ばれ、通常、1分間あたり60回~80回の電気刺激が起きています。
洞結節で起きた電気刺激は、心臓内に張り巡らされた「刺激伝導系」という電気の通り道を通り、
心房 → 房室結節 → ヒス束 → プルキンエ線維 → 心室
の順番で電気が通過します。そのときに、心房や心室が収縮し、全身に血液が送り出されます。
洞結節で作り出され心臓内を巡る電気刺激を検知し、波形として表示するのが、心電図です。
正常な心電図波形は、P波、QRS波、T波の3つの山で構成されています。

・P波
心房の収縮を表しています。

・QRS波
心室の興奮を表す、大きな山です。

・T波
心室が興奮から回復するときにできる、小さな山です。

心電図で表示された波形を見ることにより、心臓がどのように拍動しているのか、異常はないかを確認することができます。

・心電図の仕組みと電極の種類
心電図では、手首から腕の付け根、足首から足首の付け根、胸部に電極を取り付け、心臓の電気的活動を読み取ります。
電極を装着する際には、装着する部位の脂肪分をアルコールでふき取り、電極装着部位にゲルを塗り込みます。
患者の体に電極を貼り付けるには、吸盤のような役割をする「基材」と、心臓の電気を読み取りやすくするための「ゲル」が必要です。
基材には、不織布(ソフトクロス)テープ、フォームテープ、粘着ゲルがあります。
ゲルには、ペースト、ソリッドゲル、粘着ゲルがあります。
電極の仕組みは基本的に同じなのですが、皮膚刺激が少ないものや、通気性が良く長時間の使用に耐えられるものなど、素材によって特徴があります。
心電図を扱う現場では、患者の皮膚の状況や使用目的によって、特徴に合わせた使い分けがされています。

【最後に】

今回は、心臓、心電図の仕組み、電極の素材についてまとめました。
健康診断でも利用されるほど一般的となっている心電図ですが、医療現場ではそれだけ重要な役割を果たしていると言えます。
また、心電図のように使用頻度が高い検査機器は、日ごろからのメンテナンスや、故障への備えがとても大切です。公的な保障制度だけでは心もとない場合は、医療機器向け保険サービスの利用を検討されてはいかがでしょうか。

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