CT装置の種類と構造

生体現象測定記録・監視用機器

【はじめに】

人の体の断面図の撮影に適しており、がんの早期発見などにも役立てられているCT装置。
CT装置にはどのような種類が存在するのでしょうか。また、どのような仕組みで体内の様子を画像データ化しているのでしょうか。
今回は、CT装置の種類と構造についてお伝えします。

【CT装置の種類と構造】

1.CT装置の種類
CT装置の種類は、大きく開発順序で分けられます。
新しく開発されたものほど、短時間でスキャンできるようになっています。

・第一世代
特徴:細いX線(Single pencil beam)を出し、それぞれ1つずつの線源と検出器が平行移動し、回転を繰り返します。これが、CTの基本形となりました。
検出器の数:1個あるいは2個
スキャン時間:約 300 秒(画像1枚あたり)

・第二世代
Narrow fan beam (fan 角度は3~15 度 )
検出器の数:数個から数十個
スキャン時間:20~120 秒

・第三世代
Wide fan beam (FOV 全体をカバー)
検出器の数:数百個
スキャン時間:1~10 秒

・第四世代
Wide fan beam (FOV 全体をカバー)
検出器の数:約 2000 個以上
スキャン時間:1~10 秒

世代の違いは機器の優劣を決めるものではありませんが、新しいものになるにつれて1枚の画像をスキャンするのに要する時間が短くなっています。
現在の主流は第三世代です。
また、CTには交互回転方式と連続回転方式の機種があり、世代の他に回転方式によっても分類できます。

2.CT装置の構造
CT装置は、ガントリ(架台)、クレードル(寝台)、コンソール(≒コンピュータ)の3つの道具からなります。
CT装置の構造は、ガントリでX線を発し、患者の体を透過したX線を検出し、それをコンソールで画像データ化として処理するという仕組みになっています。
X線を発する「管球」という部品と検出器は、ドーナツ型のガントリ内に納まっており、通常は樹脂カバーで覆われています。
ガントリ内で管球と検出器がぐるぐると回転することで、特定の部位を撮影できるようになっています。
管球の重量はおよそ700kg。そんな重いものがガントリの輪の中で一周0.5秒ほどで回っている訳ですから、普通は遠心力でCT装置が大きく揺れることが予想されます。しかし、大きな揺れが生じると患者の体調や画像への影響が出てしまうため、現在は極力揺れが起こらないように設計されています。

【最後に】

今回は、CT装置の種類と構造についてまとめました。
1972年、英国のメーカーから発売されたCT装置はとても画期的なものでした。
しかし、それだけに留まらず、各メーカーが画像のスキャン時間を短縮したり、スキャン方法を変えたりと改良が加えられていき、今に至ります。
現在は、がんの早期発見の重要性も多くの人に認知されているので、今後もCT装置の重要性は高まり、改良が加えられていくことでしょう。

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