血圧計と水銀の廃棄問題~地球にも優しい医療へ~

生体現象測定記録・監視用機器

技術の進歩で私たちが豊かな生活を送るために水銀はあらゆるものになって活躍しています。蛍光灯やボタン電池の一部など、そして少し昔のものがある家では水銀体温計があるかもしれませんね。また水銀を使った血圧計をお持ちの方もいるかもしれません。
ところで、水銀を使った血圧計はそのまま捨てても良いのでしょうか。
水銀が人体に有毒なことは知られていますし、世界的にも水銀を制限する動きが出ています。
今回は水銀や水銀を使った血圧計の今後などについて説明したいと思います。

【世界的な水銀の問題】

水銀は一度廃棄されるなどすると分解されません。水銀が原因となった有名な水俣病では、工場廃棄物が海に廃棄され、それを体内に取り込んだ魚や貝を食べた人々が神経系疾患などを引き起こして死亡するような重い症状が出ました。

このような経験から「水銀に関する水俣条約」が2013年に制定されました。それによって、2020年以降には水銀を使用した機器の輸出入は禁止されることになりました。

環境省のデータによると、日本での水銀の使用用途の3割もが医療用計測器となっています。
2020年以降、産業廃棄物として水銀の廃棄に多額の費用がかかる可能性もあることから医療現場では水銀を使わない機器と早めに交換することが必要になりそうです。

【家庭ごみとしての水銀血圧計は?】

家庭のごみとしては水銀血圧計は自治体の指示に従って捨てればいいので、特に大きな問題はありません。
もちろん排水溝に水銀を流したり、庭に捨てたりしてはいけません。そして、もし「うっかり水銀らしきものがこぼれた!」と思って掃除機で吸ってはいけません。なぜかというと空気中に対流する可能性があります(蒸発して気体になる)。
水銀を少しの間くらい手で触れてしまっても問題はありませんが、傷口があると血液の中に侵入する可能性があります。
もし破損によって水銀がこぼれた場合は、なるべく触れずにいらない紙などにすくって厳重にビニール袋などにしばって入れて有害ごみの日に出しましょう。

いずれにしても、2020年以降水銀を使った商品はなくなっていくことに(輸出入がなくなるため)なるため、家庭でも水銀を使わない商品へ変えていく必要がありそうです。

【まとめ】

人は豊かな暮らしをするために技術の進歩をしてきましたが、その結果人体やあらゆる生き物の生態系、そして地球にとって被害があることになかなか気づきませんでした。また気づいても、人の利益を最優先するためにその対策は遅れてきました。
これからは水銀を使った血圧計、体温計は本格的になくなり新しくデジタルのものへ全て変わっていくことでしょう。
医療は初めは人ためだけのものでしたが、その医療機器を有害な物質がないものに変えたり、省エネを心がけるなど人だけでなく「生物」や「地球」にも優しい医療がこれからは求められていきます。

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