心電図、脈拍、呼吸回数などを計測するベッドサイドモニターについて

生体現象測定記録・監視用機器

【はじめに】
心臓が発する電気の活動を見る心電図検査には、いろいろな種類があります。
横になった患者の手足と胸に電極をつけて行う、12誘導心電図は、学校や職場の健康診断でもおなじみではないでしょうか。
その他に、トレッドミル(歩く歩道)やエルゴメーター(自転車)などを使用して行う運動負荷心電図、1日の心臓の動きを記録する24時間ホルダー心電図、入院中の患者の心臓の動きを確認するベッドサイドモニターなどがあります。
今回はこの中から、ベッドサイドモニタータイプの心電図についてまとめます。

【ベッドサイドモニターとは】

テレビドラマなどで、重大な病気で入院している患者のベッド脇に、「ピッ、ピッ、ピッ」と鼓動のリズムに合わせて電子音を発しているモニターが置かれているのを見かけますが、それがベッドサイドモニターです。
ベッドサイドモニターは、入院中の患者の心臓の電気的活動を計測、表示し、リアルタイムでナースセンターに伝えます。
また、患者の心拍数が急激に変化した時などの緊急事態にはアラームを鳴らして知らせる機能も持っています。
健康診断などで用いる「標準12誘導心電図」は、患者の胸部と手足に電極をつけて心臓の電気的活動を計測しますが、安静にしていなければならないため、長時間の計測には向きません。
そのため、リアルタイムでの観察を行うベッドサイドモニターでは「3点誘導心電図」という形態の心電図が用いられます。3点誘導心電図は、患者の胸部に電極を取りつけることで心臓の活動を計測することができます。
ベッドサイドモニターには、心電図のみを表示する機器と、心電図以外の情報も複合的に表示できる機器があります。
複合的な情報を表示するタイプの機器は心電図(ECG)の他に、血圧(NIBP)、呼吸数(RESP)、脈拍数(HR)、経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)なども計測・表示します。
なお、実際に医療現場で働く医師や看護師の間では、「呼吸数などの数値はあくまでも参考程度にとどめておいた方が良い」という見解も存在します。
また、電極の取りつけ方が不正確な場合には心電図波形が乱れることもあります。

【ベッドサイドモニターが必要な患者】

ベッドサイドモニターは、すべての入院患者に使用されるわけではなく、使用される条件がある程度絞られています。
具体的には、生命の危機に置かれている患者、手術を終えたばかりの患者、心臓カテーテルによる治療を受けた患者、事故や急病などで集中治療を必要とする患者などに用いられます。

【最後に】

今回は、テレビドラマなどでも時折登場するベッドサイドモニターについてまとめました。
ベッドサイドモニターは電気メスや薬のように病気の治療に直接用いられる道具ではありませんが、重症の患者の状態を計測し、適切な処置を行うための手がかりを医療関係者に絶えず伝え続ける役割を持っています。
ベッドサイドモニターは、重症の患者にとっての命綱のようなものと言えるのではないでしょうか。

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