MRI検査でわかる「かくれ脳出血」

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【はじめに】
「かくれ脳出血」という言葉をご存知ですか?
正式には「無症候性脳血管障害」といいます。
この「無症候性脳血管障害」には「かくれ脳出血」のほかに「かくれ脳梗塞」も含まれます。「無症候性脳血管障害」のうち、血管がつまってしまった場合が「かくれ脳梗塞」で、血管が破れて出血している場合が「かくれ脳出血」になります。
今回は、「かくれ脳出血」とはどのようなものなのか、また、どのようにして発見することができるのかを見ていきましょう。

【かくれ脳出血とは】
脳出血とは、なんらかの原因によって脳内の血管が破れてしまう病気のことをいいます。
血管が破れた部分や出血量によって異なりますが、通常の脳出血のケースでは頭痛、身体の左右どちらか半分のマヒやしびれ、嘔吐や吐き気、言葉の異常(ろれつが回らないなど)といった、どちらかといえばわかりやすい症状があらわれるのが一般的です。

しかし、出血の範囲が小さい場合などでは、このような自覚症状がまったくあらわれないケースがあります。
このようなケースが「かくれ脳出血」と呼ばれるものにあたります。

【かくれ脳出血を発見するための方法】
自覚症状が伴いませんので、「かくれ脳出血」を見つけられるのは検査のみです。
実際に「かくれ脳出血」は、脳ドッグを受診した場合や、さらに大きな脳出血を起こして症状があらわれ、病院で検査を受けた場合などに発見されることがほとんどです。
しかし、検査といってもX線CT検査や通常のMRI検査では「かくれ脳出血」を見つけることは至難の業です。

「かくれ脳出血」を見つけるためにはMRIの中でもT2スター強調画像と呼ばれる特殊な撮影方法を用いる必要があります。
血液中の赤血球に含まれるヘモグロビンは、出血した後ある程度時間が経過するとヘモジデリンと呼ばれる物質に変化します。
T2スター強調画像は、このヘモジデリンを非常に鋭く検出することができるため、「かくれ脳出血」のようなわずかな出血であっても見つけることが可能になるのです。
また最近では、T2スター強調画像よりもさらに微細な出血を検出することのできるSWI(磁化率強調画像)と呼ばれる撮影方法も開発されています。

【まとめ】
「かくれ脳出血」は、近ごろ医師の間で注目を集めるようになってきました。
「かくれ脳出血」は、早期に検出して適切な治療や対策を行うことにより、将来の大きな脳出血や認知症などの病気を未然に防ぐことが期待されます。
しかし、「かくれ脳出血」には自覚症状が伴わないため、ここで紹介したような特殊なMRI検査を用いなければ出血を発見することができません。
「かくれ脳出血」が注目されるようになった背景には、MRI検査技術の進歩があったのです。

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