MRIの磁場について

診断用機器

「MRI検査」という言葉を聞いたとき、皆さんはどんなイメージを浮かべるでしょうか?「トンネルのような機器の中に入り、体内の画像を撮影するモノ」、あるいは「CT検査のようなモノ」、「なんとなく磁力を使うのだろうな」というくらいではないでしょうか?ここでは「MRI検査」の仕組み、そして「磁場」にスポットをあてて説明していきたいと思います。

「MRI検査」の仕組み

「CT」と「MRI」が混同されがちなので、その違いから説明していきます。簡単に言うと「CT 」はX線で撮影した画像で、「MRI」は磁力と電波で撮影された画像です。
「CT」はX線という放射線で撮影するため、わずかですが被ばくします。一方、「MRI」はその心配はありません。

では、「MRI」の撮影方法はどのような仕組みになっているのでしょうか?

「MRI検査」の磁場

「MRI」の撮影時にトンネルのような機器の中に患者様の体を入れます。
このトンネルは巨大な磁石になっており、トンネル内には「磁場」が発生しています。つまり患者様の体は「磁場」の中に置かれているわけです。

この状態で特定の周波数の電波をあてると、患者様体内の水素分子が同じ方向を向きます。これは、「磁気共鳴、又は励起」と呼ばれている現象です。しばらくして、この電波を切ると各部分(水・脂肪・骨・癌など)はそれぞれの速さで、元の安定した方向に戻っていく性質があり、これを「緩和」と呼びます。

この戻る「速度の差」を白黒で表わしたものが「MRI」です。

「MRI検査」では「磁場」の中に体を置くわけですから、当然人体に影響がないか気になるところです。「CT検査」のような被ばくこそないものの、「MRI検査」でもいくつかの人体への影響が報告されています。その中の「磁場酔い」について説明していきたいと思います。

「磁場酔い」について

「磁場酔い」とは一体何のことなのでしょうか?
高校生の時に習った、電磁誘導の実験を覚えているでしょうか?コイルの周りの磁界が変化すると、コイルに電流が発生するという実験です。MRI検査室の中の人体はちょうどこのコイルのようなもので、人体が移動することで「磁界」が変化し人体内に電流が発生します。

これにより「筋肉のぴくつき、めまい、吐き気、頭痛」などの症状が見られることがあります。これがいわゆる「磁場酔い」と呼ばれるものです。

特にMRI検査装置のベッドに横になるとき、体の動きが激しくなると「磁場酔い」しやすいと言われています。意識してゆっくり動くようにすれば、ある程度「磁場酔い」を防ぐことができます。

まとめ

「MRI」は磁力と電波を使って体内を撮影します。それによって、「CT」のように放射線は使用しないので被ばくの心配はありません。ですが、やはり強い「磁場」の中に身を置くわけですから、「磁場酔い」という症状が起こるわけです。しかし、気を付けるべきところを注意していれば、ある程度予防することも可能ですし、あくまでも一過性のものであるということを忘れてはいけません。

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